ヒラリー・ロダム・クリントン上院議員(民主党)の選挙区であるニューヨーク州で、クリントン議員を迎え撃つはずの共和党候補が泥仕合を演じている。クリントン議員も11月の中間選挙に向けた選挙運動を数カ月ぶりに再開して2日目のこの日(8月10日)、英国の警察当局が、ロンドン発米国行きの旅客機を標的にした爆弾テロ計画を未然に阻止したという大ニュースが世界中を駆け巡り、再開したばかりのクリントン議員の選挙運動もその影にすっぽり隠れてしまった格好となった。それでも、この日、ニューヨークのスタッテン島で開かれた朝食会で、クリントン議員はこの「悪魔的」なテロ計画によって、対テロ戦争に備えた警戒態勢を米国民は維持しなければならないことが証明された、と述べ、余裕のあるところを見せた。

  その一方で、共和党側の上院議員選挙の候補者指名争いはいささかこっけいだ。再選を狙う現職のクリントン議員への挑戦権を獲得するため、同選挙区でしのぎを削っている候補は2人いる。ヨンカース市の前市長、ジョン・スペンサー氏とレーガン政権時代に国防次官補代理を務めた経験がある「KT」ことキャスリーン・トロイア・マクファーランド女史だ。しかし、9日の夜に開かれた2人の討論会では苦々しい口論が続いた。

  討論会で注目を集めたのは、もっぱらスペンサー氏のヨンカース市長時代の私生活の問題だった。同氏は妻帯者でありながら、側近の女性との間に2人の子供をもうけたという型破りな私生活は、公務でも非倫理的だったことの証左だとマクファーランド氏が攻撃。すると、スペンサー氏も、家族を中傷し、不当な表現でウソをついているとマクファーランド氏に反論するという具合だ。

  翌10日になっても、遊説先のロチェスターを訪れたスペンサー氏の前日の討論会での怒りはまだ収っていないようで、地元紙「ロチェスター・アンド・クロニクル」が報じたところによると、スペンサー氏は2度と討論を行わないと立腹し、9日夜の討論の様子はマクファーランド氏の精神状態に問題が多いことを示したとこきおろしたという。とどめに、スペンサー氏は「彼女には何か助けが必要なのだろう」と捨てぜりふを吐く始末。一方、マクファーランド氏の広報担当は、このスペンサー氏の発言について、「うんざりするほど不快だ」と語り、2人の泥仕合は終わりそうにもない。(2006年8月11日午前9時16分)【了】

■ベス・ファウヒー記者
ニューヨーク地区担当で、11月7日の米中間選挙の投票日に向け、民主党のクリントン上院議員(ニューヨーク州)や共和党のルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長、同党のジョージ・パタキ現ニューヨーク州知事などを中心にAPブログを執筆している。

関連記事:
ブッシュ政権、18日に経済担当者会議開催=支持率低迷のなかで(8月18日)
イラク戦争支持の米民主党上院議員、予備選で“反戦”新人に敗れる(8月10日)
APブログ: 50年前の選挙が米国をベトナム戦争に導く結果に=ベテラン記者の回想録(8月16日)

Copyright 2006 livedoor. All rights reserved. This material may not be published, broadcast, rewritten or redistributed. AP contributed to this report.