29日、東京都八王子市の磯沼ミルクファームで開かれた食育教室で、ミルクテイスティングを行う様子。(撮影:東雲吾衣)

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ワインではなく“ミルク”のテイスティング(飲み比べ)!?――。大人向けの食を体験する集いが29日、東京都八王子市の磯沼ミルクファームで開かれ、子ども数名を含む約40人が参加した。ミルクテイスティングのほか、子牛のグリルやピザ作りなども行われた。

 同牧場では、ホルスタイン、ブラウンライス、ジャージーの3種類の乳牛が飼われている。テイスティングでは、乳牛の種類ではなく、“ノエル”“パール”“カッシュ”とそれぞれの牛の名前を知らされ、ワインやチーズのテイスティングと同様、色、香り、味、舌触りなどを4段階で判断。参加者は「甘みが口の中に広がっていく」「においがない」「クセがない」などと感想を述べ合いながら、ミルクを飲み比べていた。

 テイスティング後、同牧場を経営する磯沼正徳さんが、ミルクや牛について解説。日本の牧場では、乳量などの効率面から、圧倒的にホルスタイン種が飼われている牧場が多いという。磯沼さんは「ブラウンライス種は小型で乳の量が少ないけれど、おいしいチーズを作るのに最適」と話し、ミルクの種類ごとに、味やコクに“個性”があることを強調した。

 この集いを開いたのは、食環境ジャーナリストの金丸弘美氏。15年前から食育に携わり、子どもから大人までを対象に食育教室や講演会を全国各地で行って いる。同氏は、今年3月に食育推進基本計画が発表されても、行政が実際に何をするべきか分かっていないと指摘し、「本物の素材、健康、バランスを伝えるものだったら、何をやってもいい」と食育に対する基本姿勢を示した。集いに参加した千葉県の主婦(37)は、「食育というと、子ども向けのものが多い。今回のような大人向けの会がもっと増えてほしい」と感想を話した。【了】