昌子源(撮影:フォート・キシモト)

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2011年、アジアカップ優勝後、帰国した日本代表は空港の到着ロビーで2人の選手がカップを掲げた。その2人は、大会で出番がなかった権田修一と森脇良太だ。フィールドプレーヤーの中で唯一出場機会に恵まれた無かった森脇だったが、持ち前の明るさでチームの潤滑油として陰で他の選手を支えていた。

大会には苦しいときが必ずある。そんなとき、重苦しいチームを朗らかにし、前に進む力を与えてくれる人物が必要だ。そんな大切な役割を、2015年はチーム最年少の選手、昌子源が果たすかもしれない。

とにかく明るい。しかも前向きだ。2014年10月に初招集されたときはケガのため辞退。11月に再び招集されたものの、まだ出番はない。それでも元気いっぱい、大きな声を出しながら練習に取り組んでいる。

「僕の本番は今のところトレーニング。試合に出てないぶん、ここでアピールするしかないんで。練習でも試合の緊張感を持って取り組んでいきます」

もちろん性格だけで代表チームに選ばれているのではない。多くのフォーメーションを使うアギーレ監督の要求に応えられる人材なのだ。

「今シーズンのプレシーズンマッチは全部サイドバックでしたし、右も左もできます。センターバックも左右どちらでも。器用なほうだと思います」

そう胸を張る。

ハートも強そうだ。

「一番下の自分が遠慮していたら、チームの底上げもできないと思うので。ピッチで嫌われることは仕方がない。CBは一番嫌われていいと思います。自分がやりやすいように前の人に言わないといけないから。プライベートではやりませんけど(笑)」

そんな昌子が不安になることがあった。合宿初日にホテルに集合して、みんなの荷物を見たときだ。
「みんな、ムチャ荷物多いんですよ。もしかしてオレが一番少ない? みたいな。下着とシャンプーぐらいで、トランク1個だったんです。他の人は枕とかも持ってきてた感じで。それがわかったときは焦りました」

「荷物少なくてベテラン風吹かしてるでしょ?」と屈託無く笑う。自身の親からは「ビビりだからしっかりしぃや」と言われているらしいが、先輩たちにも臆することなく話しかけている。

あとは試合に出て活躍するだけ? そう聞くと「任してください」と頼もしい声が返ってきた。

【日本蹴球合同会社/森雅史】