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商品アイテムは万年筆、ジャズのCD&DVDとLP、落語のCD&DVD、映画のDVD、ミニカー。本はそれらに関する書籍雑誌のすべて。

セレクトの条件はすべて僕が経験済みのもので充分な知識のあるものに限る。
ジャズ、落語、映画、ミニカーはOK。万年筆は勉強しなければいけないな。
悪筆なのでペン習字も習わないと。万年筆屋のオヤジが悪筆では売れるものも売れなくなる。

下代在庫内訳は万年筆800本で600万。ジャズ2000枚で300万、映画が2000枚で300万、ミニカーが200万、落語が2000枚で300万、合計1700万。300万が関連した書籍を並べる。

これらは15坪で収まる。あとの5坪はミステリーとか歴史書を独立させてもいい。
インテリアとか建築関係の本でもいいかな。
バッグが大好きなのでうんとセレクトしたバッグを置いてもいい。
質感のあるインテリア小物を置いてもいい。
万年筆はビリヤード台とバーカウンターをショーケースにするので800本は収まるはず。
映画の2000枚は辛いかもしれない。
お客様の永遠のライブラリーにしてもらいたいので、ハリウッドの火薬の消費量の多いソフトは置きたくない。
開店までに僕がすべてを観ることができない可能性があるし、わがままなセレクトでは集まらないかな。
あとは自信あり。さあ、どんとこい。なんでも応えてやる。
店内の棚の隅から隅まで店長の頭に叩き込んでやる。
連想ゲームを思いっきり駆使して入場者を唸らせてやる。
ジャズコンと落語会の情報は細大漏らさずインフォメーションしよう。
ジャズ、映画、落語、万年筆などについては、啓蒙的で生意気でスノビッシュな店になってしまうかもしれない。できるだけ頭を低くしよう。知らない振りをするのが肝要。
お客さまにもどんどん教えてもらおう。
20坪の空間が情報交換の場になれば幸い。マーケットは関東圏3000万人。

うまくいけば、政令都市に1店舗くらいは出せるかも知れない。懲りない出店過多症はもうすでにあらぬことを考えてしまう。日本に1店しかない店。
志ん生と馬生の「芝浜」が各100、ウッディ・アレンの「ギター弾きの恋」やイースト・ウッドの「バード」がこれでもかというくらい積んであり、シトロエンCXプレステージやディーノのミニカーが渋く置いてある店。エバンスのピアノが静かに鳴り、マイルスのミュートが哀しげに震える。
客単価は3300円でレジ客が100人を超えたところで閉店する生意気な蕎麦屋のような店。
勝負服はYシャツにレジメンタルの細身のネクタイに糊の効いたエプロン。
バーカウンターで頬杖をついて藤沢周平や塩野七海を読もう。
置物ように見える猫がカウンターでときどき欠伸をする。

次回へ続く 
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■プロフィール■ 

菊地敬一
ヴィレッジヴァンガード創業者。

1948年北海道生まれ。
賞罰共になし。
原付免許、普通自動車免許、珠算検定6級 保持。
犯歴前科共になし。

大学卒業後、書店勤めを経て、39歳で独立。
名古屋で、遊べる本屋『ヴィレッジヴァンガード』を創業。
独自のセレクトとPOP、ディスプレイで
「変な本屋or雑貨屋」としての地位を確立し,
396店舗を展開するに至る。