Jリーグのユースチーム日本一を決めるJユースカップは、優勝常連の伝統チームであるガンバ大阪ユースに対して、コンサドーレ札幌U-18が5-1という意外な大差で全国大会初優勝を飾った。

試合の経過だけを見れば、ガンバが先制点を挙げているし、札幌が追いついたのは前半42分にガンバの内田君がPA内で足裏を見せたスライディングタックルをやってしまっての一発退場&PKだったし、数的同数であればガンバのほうが勝っていた可能性が高いようには見える。

が、数的同数だった前半でさえシュート数は札幌の二桁に対してガンバは得点した1本のみと、単純な個人のテクニックはともかくとして、選手1人1人の落ち着き、成熟度、スキルの高さという点で、札幌とガンバでは明確な差があったように思う。

ガンバは、良い意味でも悪い意味でも今までの日本らしいユースチームという感じで、低い重心からドリブルを繰り出す小川君や先制点を決めた出岡君のような、才能を感じる選手も多いんだけど、各選手がフィジカルコンタクトから逃げがちで、相手のプレスが強くなるととたんにパスワークが不安定になるし、スペースを埋められると逃げのパスが多くなって相手をなかなか崩せない。

しかし札幌の選手は、プレッシャーの中でパスを受けても慌てて不正確なワンタッチパスを出したりせず、いったん相手を体でスクリーンし、有利な体勢を整えてからパスを出すので非常にミスが少ない。そしてドリブルでの競り合いも厭わず、プレスを物ともせずしっかりとボールをキープしながら前へとボールを運んでいける。まさに、年代こそ同じだが大人と子供のサッカーを見ている気さえした。

その象徴的なシーンが札幌の4点目で、ガンバは中盤にたくさん人が居ながらも誰一人としてボールホルダーにアタック出来ず、ど真ん中からあっさりとスルーパスを通されるという屈辱的な失点は、U-19年代のアジアでの戦いで散々見せられた、日本ユース選手のナイーブな姿そのままだった。

この札幌ユースは、Jリーグのトップチーム相手の練習試合で勝ったことすらあるそうで、来期6人がトップ昇格するという図抜けた実力を持った世代らしいが、それも頷ける強さであった。やたらとひ弱でナイーブ、金太郎飴な面ばかりが伝えられる昨今のJユースだが、こういう札幌のようなチームが出て来てくれると心強い。是非とも、他のチームは育成方法を見習ってもらいたいと思う。