渡辺麻友さんの演じるナツキは、ショートヘアが似合う、元気で運動神経抜群の中学生。隣に住む幼なじみのケンジのことを思い続けていますが、ケンジはナツキの親友カホリに片思い中。そして、カホリは、謎の転校生・京極に……。学園に起こる不思議な事件の謎とともに、思春期真っ直中な中学生たちの四角関係の行方にも注目。

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1973年に刊行され、薬師丸ひろ子、原田知世らの主演により過去6度も実写化されているSF作家・眉村卓の代表作『ねらわれた学園』。時代を越えて愛され続けるジュブナイル小説の名作が、初のアニメ化。劇場長編として11月10日(土)から全国ロードショーされます。
今年の春、映画館で見た特報映像の美しさに惹かれて以来、今作の公開を楽しみにしていた筆者。上映開始に先駆けて、ヒロインの涼浦ナツキを演じる“まゆゆ”こと渡辺麻友さんと、今作で劇場アニメーション初監督を務めた中村亮介監督に、お話を伺ってきました。
全3回の「ねらわれた学園」特集。
第1回は、渡辺麻友さんの合同インタビュー、第2回と第3回は中村亮介監督のロングインタビューを掲載します。

――この作品は、原作小説の舞台を現代の中学校に移し、オリジナルのストーリーが展開されます。シナリオを読んだときの感想を教えて下さい。
渡辺 青春の甘酸っぱい恋模様がすごくリアルに描かれていて。そこに、キュンとしたし、超能力とかのある不思議な世界観にも引き込まれました。
――渡辺さんがアニメファンであることはよく知られていいますが。出演される声優としてだけでなく、アニメファンとしての目線で見ても、こういったタイプの物語は好きですか?
渡辺 はい、好きです。いろいろな楽しさがあって、一石二鳥な感じですよね(笑)。
――たしかに、一石二鳥な魅力のある作品ですね(笑)。演じられたナツキという女の子は、渡辺さんから見て、どのような女の子ですか?
渡辺 明るく元気で、活発な女の子なんですけど、中身はすごく繊細で。女の子らしいところもあって。そういう二面性が、魅力的だなと思いました。
――渡辺さんとナツキの似ているところは?
渡辺 今、お話ししたような二面性のあるところは、ちょっと共通しているかなって思います。
――では、似てないところは?
渡辺 ナツキはすごく運動神経が良いんですけど、私は運動が苦手なので。そこは羨ましいですね。あと、いつでも明るくいようとするムードメーカー的なところもあるのですが、そこも私とはちょっと違うかなと思います。
――今作で初めて劇場アニメの主演を務められたわけですが、アフレコには、どのような気持ちで臨まれたのですか?
渡辺 アニメは好きで、時間ができれば見ているので、自分がキャラクターに声を吹き込む側として、アニメ映画に出演できるのは本当に嬉しかったです。私はアフレコの経験がそんなにないのですが、周りのキャストの皆さんは、プロの声優さんばかり。不安もいっぱいでしたが、足を引っ張らないように頑張ろうと思いました。
――監督や音響監督からの指示で、特に印象にのこっているものを教えて下さい。
渡辺 ナツキは14歳で、私より4歳年下なんですけど、年齢は気にしないで、変に作り込まず、自然に演じて欲しいと言われました。なので、私もなるべく自然に台詞を喋れるように心がけました。
――TVアニメ「AKB0048」で演じられた園智恵理とは、まったく違うキャラクターですね。
渡辺 智恵理はクールな女の子でしたが、ナツキちゃんは、喜怒哀楽の激しい子で。元気だったり、怒ったり、感情を露わにして泣いたり。そこが難しかったです。
――特に難しかったシーンは?
渡辺 ナツキちゃんが泣きながらケンジに思いを伝える場面があるんです。そこは、けっこうこだわって。監督さんともいろいろ相談しながら、何度も録りました。
――逆に楽しかったシーンは?
渡辺 ケンジとふざけあうシーンが何度もあるんですけど、そういうシーンは、特に楽しく演じられました。
――ナツキとケンジは、同じ年で隣同士に住む幼なじみという関係ですが。アニメファンとして、こういう幼なじみ設定はどうですか?
渡辺 良いですよね。実際には、なかなか無いことだと思うし。
――僕も、ナツキみたいな可愛い幼なじみは欲しかったですが、現実の世界ではなかなか無い関係ですよね(笑)。
渡辺 ですよね(笑)。だから、こういう関係って良いなと思います。
――ナツキは、幼い頃からずっとケンジに恋しているわけですが、渡辺さんご自身は、ケンジに対してどのような印象を?
渡辺 ちょっとお馬鹿なところが可愛らしいですね。
――でも、ナツキの思いに、まったく気づいてないことには、何か言いたくなりませんか?
渡辺 女心が分かってなさ過ぎなところはありますよね。そこはちょっと、どうかなって思います(笑)。
――こんなにも甘酸っぱい青春時代の恋愛模様は、「AKB0048」でも、これまで出演されたドラマでも、あまり描かれていなかった要素ですよね。演じてみて、どうでしたか?
渡辺 私自身、そういう経験はないので、ナツキちゃんになりきって演じたんですけど。泣きながらのシーンでは、私自身もすごく切なくて、本当に辛い気持ちになりました。
――すごく良いシーンでしたよ。ちなみに、この作品では、幼なじみのケンジの他に、謎の転校生・京極リョウイチという男の子も登場します。ナツキではなく、渡辺さん自身としては、どちらの男の子が好きですか?
渡辺 京極君です(笑)。
――あ、そうなんですか? 京極のどこに魅力を?
渡辺 謎めいたところがすごく魅力的ですし。髪型も好きです(笑)。
――そこも、ケンジ一筋のナツキとは似てないところですね。今作では、主題歌「サヨナラの橋」も歌われています。レコーディングでのエピソードなどを教えて下さい。
渡辺 昭和の歌謡曲みたいな懐かしい感じの曲調で。詩の内容は、青春の甘酸っぱい片思いを描いていて、まさにナツキちゃんの気持ちを描いている曲になっています。レコーディングの時も、ナツキちゃんのことを思い浮かべながら歌いました。
――(子供向け新聞の記者からの質問)渡辺さんは、アニメがお好きでたくさんの作品を見られていると思うのですが。小学生や中学生の読者にオススメの作品はありますか?
渡辺 私も小学校の頃からずっとアニメは見てましたけど、オススメするとしたら、何が良いのかな……。小学生や中学生の子に向けてですよね……(数秒経過)。
――たくさん見られているから、逆に難しい質問でしたかね。
渡辺 いえ、難しくはないですよ。う〜ん……(数秒経過)
――例えば、渡辺さんが小中学生の頃、好きだった作品とか?
渡辺 オススメして良いのかな。健全なものが良いですよね(笑)。
――まずかったら、上手くぼやかしますけど(笑)、
渡辺 ちょっと待って下さいね。今、記憶を……。
――あの作品には、あんなシーンがあったから、小学生には勧められない、とか悩んでる感じですか(笑)。
渡辺 えっと……(笑)。あ、日曜日の朝のアニメとか良いと思います! 私は「プリキュア」が大好きで、今でもずっと見てますし、そういう子供の頃の気持ちを忘れないことが大事だと思ってるので。小さな子が見るような作品を、ずっと見続けて欲しいなと思います。
――渡辺さんも、子供の心を忘れてないんですね。では、最後に、読者へのメッセージをお願いします。
渡辺 学園生活で起こる不思議な事件だったり、青春の恋模様だったり、いろんな場面が描かれていて、懐かしい気持ちにもなれるお話になっています。映像もきれいで、本当に素敵な作品に仕上がっているので、ぜひたくさんの方に見ていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
(丸本大輔)

(中村亮介監督インタビューも近日公開)