それで日本のFWが上手く相手のDFラインの裏でマイボールにできれば、相手は攻守の切り替えの度に何度も上下動する事になるので、それでも疲労が蓄積してくる。大儀見や川澄は頑張ってキープしていましたが、やはり日本のパスは足下から足下が多いし、中央の相手の守備ブロックの中だけでプレーしていると、相手にとっては運動量的に楽になってしまうので、バイタルエリアを力技で攻略できない場合には、相手のDFラインの裏を使う、という事が最も有効な手段になってくると思います。

この方法は、そうする事によって、ロングボールを蹴って前にボールがある間にDFラインを押し上げられる、という事もありますよね。この試合では、日本はDFラインを押し下げられてしまって、それに伴ってMFのラインも下がり、FWとMFのラインの間が間延びしてしまっていたので、ハイプレスがなかなか機能していませんでした。きちんと3ラインをコンパクトに保ち続けるにはどうすれば良いのか、相手の戦い方を考えた上での、その方法をきちんと選手に授けておく必要があると思います。

それから、守備ではもう1つ。スウェーデン遠征でのアメリカ、この試合でのフランス、やはり狙っていたのはPA内のサイドのゾーンですね。そこに向かってボールも人も入って行く。この攻撃に対して日本の守備はまだ対応できていません。守備は、相手がどういう狙いをもってやっているのか、それを先読みしないと、全て対応が後手後手になってしまいますから、もう2回目でもありますし、そろそろ、その攻撃に対する守備方法を考えて欲しいと思います。

思い切ってDFラインを上げるのか。逆に、もう少し早いタイミングでDFラインを下げて対応するのか。それとも、マンツーマン気味に対応させるのか。本大会までには決めておいて欲しいと思います。もちろん、この試合の失点シーンのように、パスの出し手のところへ必ずアタックに行く、という事はそうなのですが、しかし、それができなかった場合に、DFラインとしてはどう対応するのか、という事ですね。

という事で、本大会前の最後の強化試合は、フランスに対してスコア「0−2」での敗戦、という結果になりました。布陣というのは、この試合の布陣で良いと思います。後は、個々の選手のコンディションの調整と、前述してきたような事をきちんと修正できるかどうか、やれるかどうか、という事だけだと思います。やはり、W杯で優勝した、その前と後では、結果に対する重圧も、相手の日本を倒そうという意識の強さも、大きく異なってきていますから、それに打ち負かされないように頑張って欲しいと思います。