利根川水系の浄水場で5月18日、国の基準値(1リットルあたり0.08ミリグラム)を超える化学物質・ホルムアルデヒドが検出。これにより、利根川から取水する群馬、埼玉、千葉3県の計5カ所の浄水場では取水を停止し、千葉県では5市34万4000世帯が断水する事態となった。
 水質検査をした群馬、埼玉の両県は、群馬県高崎市、藤岡市付近を流れる利根川支流の烏川、井野川の上流にある化学工場が発生源の疑いがあるとしている。

 社会部記者が言う。
 「ホルムアルデヒドは、浄水場の塩素と工場から排出されたアミン類が反応して生成されたと埼玉県などでは見ています。井野川沿いにある某社では、アミン類のヘキサメチレンテトラミンを年間1トン以上取り扱っている。群馬県も工場排水の提供を受け、発生源の絞り込みを進めています」

 それにしても、浄水場には水以外の不純物を99.9%取り除けるフィルターを設置しているというが、今回は機能しなかったのだろうか。
 昨年3月の原発事故の際には、東京葛飾区の金町浄水場で210ベクレルもの放射性セシウムが検出されている。その後、都ではフィルターを交換して問題はないとしているが、大丈夫なのか。
 「金町浄水場の原水となっている江戸川の放射能汚染が酷くなっているので、本当に安全だと言い切れるのでしょうか。下町の飲料水はあそこから供給されているだけに心配です。もし安全を確保できないなら、早急に手を打つべきです」(世田谷井上病院・井上毅一理事長)

 放射性セシウムで首都圏大断水ということは勘弁してほしい。