浦和レッズマガジン2012年5月号掲載】

 今季、ケルンから浦和へと復帰し、活躍の場を日本に移した槙野智章。持ち前の明るさからすぐにチームへ溶け込み、ミハイロ・ペトロヴィッチ新監督のサッカーを知る“申し子”として存在感を発揮している。

“赤き血のイレブン”をけん引する男は、何を思って新天地に浦和を選んだのか。槙野の今季に懸ける思いとは。

 その答えが今、明かされる。
(文:SK編集部)



インタビュー・文●島崎英純 [写真]=足立雅史

——槙野選手は浦和レッズマガジン初登場です。

槙野——よろしくお願いします!

——まず、現在の調子からお聞かせ下さい。

槙野——僕自身は今、日々充実していますので、コンディションは非常に良いと思っています

——ホーム開幕戦の柏戦の前に足を痛めたようですが。

槙野——もう大丈夫です。サッカー選手は常にどこかを痛めていますから。ただ万全の状態ではない中でもしっかりとプレーできていますので、問題はないです

——槙野選手はドイツから今冬に帰国したことで、オフ期間が取れませんでした。その影響はありませんか?

槙野——大丈夫です。逆にドイツで半分シーズンを終えた段階で日本に戻ってきたので、浦和のキャンプに最初から参加できて、身体作りもできました。なので良い状態で開幕を迎えることができました

——浦和に加入して3カ月程度。今のレッズの雰囲気は?

槙野——これまで外部からレッズを見てきて、このクラブの偉大さをしっかりと感じていました。それを踏まえた上で今、内側に入って3カ月が経ち、このチームの選手たちの特徴を知ることができました。とてもいい雰囲気を感じています

——選手にはどんな印象を持ちましたか。

槙野——やはり、ビッグネームが多いですよね。外にいた時は代表経験を積んだ選手、さらには各クラブの象徴的な選手を引き抜いてチームを作っている印象がありました。けれども、実際に中に入ると、選手一人ひとりが真剣にサッカーに向き合っていることを感じました。

『俺は代表選手だ』とか、『俺は実績がある選手なんだぞ』というようなビッグプレーヤー特有の驕りを持つ選手は一切いないと思いました。特に、ベテラン選手のチームに対する貢献度は高いと感じています。

僕自身、こんなにスッとチームに溶け込んで自由にプレーできているのも、今までレッズを支えてきたベテラン選手の方々が良い意味で僕ら若手にブレーキをかけてくれているからだと思うんです。自由な環境を築き上げてくれながらも、締めるところは締める。だからこそ彼らが精神的な支柱だと思います




——今のレッズには、これから実績を築き上げていく若手も数多く在籍しています。

槙野——本当にタレント豊富ですよね(笑)。一番ビックリしたのは実績を築き上げてきた選手、各チームのエース級、実績あるベテランが数多く在籍しているのに、若手が物おじせずに堂々とプレーしていることです

——広島にも若い選手はいましたが。

槙野——確かに広島にもユース年代にタイトルを獲得してトップに上がってきた選手がいますが、Jリーグの舞台では委縮してしまう面もありました。でも、浦和の若い選手は違いますね。トップの舞台でも堂々としている

——できれば、それを結果に反映させたいですね。現在の浦和は若手、中堅、ベテランが混在しながら、なかなか成績を残せていません。昨今の浦和の低迷の理由を、槙野選手はどのように分析しているのでしょうか。

槙野——僕はこのチームに入ってまだ間もないのですが、外から見ていると、せっかくこれだけ大きなクラブで、サポーターも素晴らしくて、スタジアムも素晴らしい。それなのに少し、フロント、チーム、サポーターの思いがバラバラになっている印象がありました。

そこで僕がまずしなくてはいけないと感じたのは『ひとつになる』ことですね。フロント、監督、選手、サポーターがひとつになれば、間違いなくいい方向にいくと思ったんです。浦和は元々持っている大きな力がある。ならば、その見えない力を利用する。それがこれからの浦和に必要なものじゃないかなと思っています

——まさに槙野選手の言う通り、ここ最近の浦和には団結の力が感じられませんでした。それを取り戻すための戦い。それが今季のキーワードになるかもしれませんね。

槙野——僕自身は『ありのままを出していこう』という話をしています。運良く、今の浦和には僕が知っている選手、僕のことを知ってくれている選手がたくさんいます。過去に一緒にプレーした選手もたくさんいます。その点でうまくコミュニケーションが取れているかなと思います

※槙野が浦和を選んだ理由、「みんなを巻き込むことで新たな力を生み出したい」と語った真意。インタビューの続きは、浦和レッズマガジン2012年5月号にて!