発売中の日経WOMAN2月号「『ひとり時間』で自分を変える!」特集で読者にアンケートを取ったところ、「ひとりで行きにくい場所」の第5位にカラオケ店がランクインしました。(ちなみに1位:高級レストラン、2位:焼肉店、3位:居酒屋、4位:すし店でした)

 「“ひとりカラオケ”によく行く」という女性も最近は目立つものの、まだまだ少数派のようです。そんな折、なんと日本初の「ひとりカラオケ専門店」がオープンしたという情報をキャッチ。これは、ひとりカラオケに踏み出せない女子に朗報!? 早速、記者が挑戦してみることにしました。

 うわさのひとりカラオケ専門店とは、東京・神田駅前の「ワンカラ」。駅から徒歩1分の雑居ビルの5階にあります。一般的なカラオケ店に比べると若干目立たないので、うっかりすると見落としてしまいそう。でも、このひっそり感が、おひとりさまにはぴったりかも…。

 お店に行ったのは、12月23日。クリスマス3連休の初日です。開店直後の午前10時過ぎに訪れたところ、おひとりさまが続々と来店。20歳前後の女子、20代半ばの男子、40代女性、40代男性…など、意外に幅広い客層。恥ずかしがっている人は皆無で、どの人も“おひとりさま達人”といった風情でした。

 身分証明書として免許証を見せて会員登録。利用時間は1時間に設定。延長はできないそうです。
 入会金200円と、1時間600円の室料に、ヘッドホン代300円が加算され、計1100円。料金は帰るときにお支払いするとのこと。ヘッドホンは自分で持ち込んだものを使うこともできるそうです。


 「女性専用スペースのお部屋をお取りしました。終了時間10分前になりましたら、室内の上のランプが点滅してお知らせいたします。あちらのドリンクバーから無料でお飲み物をご利用いただけます」
 と、にこやかな女性の店員さん。女性専用スペースということで、周囲の個室内にいるのは女性だけ。なんとなく安心します。




 個室の中には、機材がセットされた机と椅子。正面の壁に画面があり、脇の壁にシャワーヘッドのごとくマイクがセットされています。なんて無駄のない空間! 勉強机に向かうような気分で、カラオケセットに向かいます。


 ヘッドホンのコードを機材の差し込み口に挿入して、耳に装着。通常のカラオケボックスと同じ、手持ちのタッチパネルで曲を選びます。

 選曲前の画面に流れていたのが、JUJUの『Lullaby Of Birdland』でした。往年のジャズの名曲をJUJUがカバーした最近のヒット曲。「これ、歌いたかったかも」と、最初の曲として入力。

 曲が始まると、ヘッドホンから高音質で前奏が流れてきます。自分の声もヘッドホンからダイレクトに聴こえてきて、少々照れくさい。

 そして、この歌…とても素敵なのですが、英語ということもあり、予想以上に難しい。ちょっとでも歌えると思った私が甘かったです。ごめんなさい。1番が終わったあたりで演奏停止。

 1曲目からいきなりフライングしてしまいましたが、初心に戻ることに。
 ここへ来る前には、「せっかくひとりカラオケなのだから、男性ボーカルの歌を歌おう」と考えていたのです。
 普段、大勢でカラオケに行く場合、男性ボーカルの歌はあまりうまく歌えないし、「男子の歌は男子に歌ってもらったほうが盛り上がる」と、自分で歌うのは避けてきた傾向があります。

 そこで、ここからは男性ボーカルものにトライ。
 2曲目に選んだのは、サカナクションの『バッハの旋律を夜に聴いたせいです』。
 最近とても気に入っている歌で、この文学的なタイトル&歌詞にしびれます。

 いざ歌ってみると、なんだか平板になってしまい、うまく歌うのは意外と難しい…。このサカナ節、歌う人を選ぶかもしれません。

 3曲目は、ドラマ&映画『モテキ』の主題歌だった、フジファブリックの『夜明けのBEAT』。『モテキ』は一通り見ていて、歌詞が頭に入っていたこともあり、なかなかスムーズ。気分も上がってきました。

 4曲目は、これもまた最近気になっている星野源の『くだらないの中に』。

 「髪の毛の匂いを 嗅ぎ合って」

 というフェティッシュな歌詞がたまりません。これは、とても歌いやすい。
歌いながら、詞の素晴らしさが心に染み入ってきて、涙が出てきます。
 不覚にも、星野源さんに泣かされました…。

 気になっていた男性ボーカルの歌を一通り歌い終わったところで、懐かしの歌モードへ。
 筆者は1974年生まれの37歳。小学生のときのアイドルの歌、ということで5曲目に選んだのは、薬師丸ひろ子『WOMAN—Wの悲劇より』。
 作詞・松本隆、作曲・呉田軽穂(松任谷由実)という、あの時代のキラキラコンビの楽曲。時代を経ても、やはり名曲…としみじみ歌いました。

 6曲目は、小泉今日子の『魔女』。作詞・松本隆、作曲・筒美京平という、これまたゴールデンコンビの楽曲。意図せず選んでしまいましたが、自分の原点は松本隆さんの歌なんだなあと実感。
 『魔女』は、キョンキョンの楽曲の中で一番好きな歌です。歌詞の中の、ちょっと不良っぽいキュートな女の子というキャラクターが、ご本人にぴったりだと思うのです。

 そういえば、発売中の日経WOMAN2月号「ひとり時間」特集では、小泉今日子さんのインタビューを掲載しています。特集担当として私もインタビューに同席しましたが、まさか小学生の頃の憧れの人とお話しできる日が来るとは思いませんでした。

 実際の小泉さんは、歌と同じ澄んだ声をしていて、ざっくばらんで、本当にかっこよかったです。

 キョンキョンへの夢のようなインタビューを思い出しつつ、7曲目に選んだのは、m-floの『One Sugar Dream』。

 「今日もあと少しで 仕事も終わるから」

 という歌い出しが、仕事後に飲みに行くワクワク感があって大好きです。歌詞の中の男女が待ち合わせをするカフェ『Bowery Kitchen』は、実際に東京・世田谷にある、カフェブームの火付け役となったお店です。2000年の『BRUTUS』のカフェ特集に付録でCDがついていて、その中に入っていたのが、この『One Sugar Dream』。その企画自体が本当におしゃれで、すごくときめいたのを覚えています。

 8曲目に選んだのは、私のココロの歌である、鈴木蘭々の『キミとボク』。
 調べてみると、1998年リリース。当時、『ポンキッキーズ』で流れていて、すごく気に入ってしまった歌です。作詞・作曲はEPOでした。EPOの歌も、中学生くらいのとき好きだったなあと思いつつ。

 「それが愛にかわるなら 僕は泣いてもいい 声をあげて」

 という歌詞のところで、いつも涙が出てきそうになります。

 9曲目。Perfumeの『チョコレイト・ディスコ』を選曲してみたものの、サビ以外のところがあまり歌えないことが分かり、演奏停止。

 そんな折、天井近くにある「終了10分前です」というランプが点滅。最後に何か歌いたい曲はなかった?と頭をフル回転。

 思いついたのが、大沢誉志幸『そして僕は途方に暮れる』。
 カラオケで歌うのは初めてでしたが、問題なく歌えて、ほどよくせつない気持ちになれました。

 1時間で歌えたのは約10曲。ひとりカラオケをやってみた第一の感想は、「意外とせわしない」ということ。次に何を歌うか頭を働かせながら歌詞を追い、間奏やエンディングの間にすかさず入力しないと、曲と曲の間にムダな時間が流れてしまうので、ひとりなのに意外とアセアセしてしまいます。事前に歌う曲をリストアップしておけば、おそらく現場でもスムーズでしょう。

 11時過ぎに個室を出てお会計を済ませると、すでにドリンクスペースでお待ちの方々が。全部で24室あるようですが、休日はすぐに埋まってしまうそう。満室の場合は整理券をもらって待つことになるようです。
 店員さんによると、男女比でいえば若干、男性客が多いそうですが、平日の昼間は女性も目立つとのこと。

 どんな歌にも挑戦できたり、歌詞に集中できたり、作詞家・作曲家の名前をじっくり確認できたり…と、発見がたくさんあったひとりカラオケ。

 なんとなくモヤモヤしているとき、ひっそりと涙したいとき、ひとり小さな部屋にこもって歌の力を借りるのもいいかも、と思いました。

「これ以上の情報をお読みになりたい方は、日経WOMAN誌面でどうぞ。」