橋下徹新大阪市長率いる「平成維新の会」の国政への殴り込みなど、新党結成の噂が流れる中、注目されるのが、民主党・小沢一郎元代表(69)の動向 。12年4月には検察審査会が強制起訴した政治資金規正法違反の裁判の判決が出るが、はたして、小沢氏の復活は今後あるのか─。
「この秋、講演で岩手県を訪れた時に、地元の人からこんな声を聞きました。これだけの震災なのに、小沢さんが地元入りし復興に向けて陣頭指揮を執る姿を見たことがない。裁判で動きが取れないのかもしれないが、政権政党を作った人物なんだから、せめて代理の人を寄越すとかあってもいいではないか。小沢さんの権力の衰えを感じないではいられない、と言うんです」

 こう語るのは小沢氏についての著作もある永田町取材歴40余年の政治評論家・小林吉弥氏だ。

 地元の支持者のみならず、最も悔しい思いをしているのは小沢氏本人に違いないが、小林氏が続ける。

「TPP参加問題に加えて、消費税率の引き上げ問題。日本は難問山積です。しかも、今の民主党は結党した小沢氏の思惑を離れて、どんどん一人歩きしている。今や民主党に小沢氏の居場所はなく、できるなら『壊して』しまいたい。そして亀井静香氏や橋下大阪市長、河村たかし名古屋市長らと新党を結成したいと思っているはずです。

 しかし、目下小沢氏は裁判を抱え、判決が4月に予定されている。仮に無罪を勝ち取っても、それだけでは国民世論は小沢アレルギーを払拭できない。小沢氏が再び自由に政治活動ができるようになるには秘書の無罪も必要です。でないと、新党結成の話を水面下で進めても雲散霧消してしまう。小沢氏は今、非常に厳しい土俵際にいます」

 国会で増税、TPP参加問題を論議するのは、12年の5月から7月にかけてと見られるが、

「かつて増税した内閣が選挙で勝てたためしはありません。消費税の税率を上げる法案がもし成立すれば、民主党は総選挙を先送りするでしょう。しかし法案が不成立なら、野田内閣は総辞職して民主党は新しい顔の内閣を作る。恐らく岡田克也前幹事長か前原誠司政調会長に落ち着くでしょう。そして新しい顔が決まれば、総選挙をしないわけにはいかないので、イチかバチか新しい内閣で選挙に打って出る。その時、政界には今までにないような大再編が起きます」

 そして世論調査では、大政翼賛会のような大政党は必要ないという結果が出ているだけに、民主も自民も割れるだろう、と推測する。

 では、新しい受け皿はどうなる可能性があるのか。

「かつては、自民党に金丸信や梶山静六など『政界の寝業師』がいたが、今や新党結成に向けて調整できる人物は小沢氏くらいしか見当たらない。しかし小沢氏が復活できるかどうかはまず判決しだい。で、それをクリアしたとしても、総選挙しだいということです」

 クリーンな人はおろか、「ダーティー」なリーダーもほとんど皆無の日本は、いったいどこへ向かおうとしているのか‥‥。