一部を除きお役所は本日が仕事納めの日となる。
ただしおそらく今年の予算編成状況から見て、財政担当者は暮れも正月もない仕事漬けの日々が続くであろうと思われる。

さて、鳩山内閣が公務員7000人を削減すると発表したが、これは多くのところで指摘されているとおり、かねてからの削減計画に基づいた自然減であり、大なたを振るったわけではない。本気で公務員の人件費を削減しようとするならばやるべきことは沢山ある。

逐一解説すると長くなるので、簡単にまとめると次のような方策が有効であろう。

○国と地方自治体(都道府県及び市町村)における共通事務の統合

総務、一般経理、福利厚生など、どの組織にも存在する事務が個別に行われていることが膨大な余剰人員を抱え込む原因になっている。
国の行政域単位で統合し、事務サービスセンターを設立し、人員削減と平行して、国家公務員から地方公務員への移籍、地方公務員から民間事務サービスセンターへの移籍を行うべきである。
特に福利厚生事務の大部分を占める年金事務については、社会保険労務士の非常勤任用などによって補完できる。職場検診などの健康管理事務も同様である。
物品支給事務などは、各役所で経費を拠出し、事務サービスセンターで一括して購入すれば、手間もコストも削減できる。

○夫婦公務員の段階的解消

本連載でたびたび指摘している「夫婦公務員」は、30代で世帯年収1千万円以上という富裕層に相当する。夫または妻の単身赴任は存在するものの、一家離散のような人事は行われないので、安泰の極みである。
お役所に限らないが、給料は「労働の対価」としての性質と同時に「業務に専念してもらうための生活費の保証」の二面的性質を持つのであるから、役所の独身男女が結婚して世帯を持ったならば、どちらか一方を民間に出向させたり、いわゆる寿退職をする場合の世帯生活を保障するために、扶養手当を拡充すればよい。もちろん男女どちらでもよいのである。

○契約事務の一元化

物品購入から公共工事まで、請負契約事務は不正の温床になりやすいことから、十重二十重の内部統制が敷かれている。それ自体は正しいことだが、契約事務要員が増大する傾向がある。
公務員は、「契約の主体は我々組織と公務員だ」と信じているが、とんでもない間違いである。契約の真の主体は納税者である国民なのだ。
電子入札がスタンダードとなって、地理的な制約がなくなった現在、契約事務は官民相互監視による内部統制確保と作業の集約を行うべきである。

単純に公務員の頭数だけを減らしても、業務の改革がなければ、いたずらに残業が増えるだけであって、これは行政サービスの質の面と、公務員自身におけるワークライフバランスの両面で問題が生じる。

本連載も、年内は本日が仕事納めとなる。公務員人件費の問題はシリーズとして、年明けの仕事始め(1月4日)から継続して提唱していきたいと思う。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)

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