今回の【ドラマの女王】は沢口靖子主演『科捜研の女』(テレビ朝日系)。なんと「木曜ミステリー」枠からスタートしてはや11年。今作でもう第9シリーズになってしまった人気ドラマ。その後、雨後のたけのこのように出現したプロファイリングや「科学捜査研究所」モノの“先駆け”と言っていいドラマである。結婚も出産もせず大事な30代を科学捜査に捧げた沢口靖子。まだ若いと思っていたらいつの間にか44歳って科学もびっくりだよ。

アメリカの人気ドラマ「CSI:科学捜査班」シリーズよりも前からやってる『科捜研の女』。“カソウケン”という響きが女性らしく、凛と涼しげな沢口靖子にぴったりなドラマ・タイトルだと思ったが、まさかこんなに長く続くとは誰が想像しただろう。なぜこのドラマが長続きしたか?その理由はいくつかある。

このドラマがでスタートしたのが1999年。それまでの刑事ドラマでは、こういった本格的法医学を扱ったようなドラマがあまり無かった。テレビ朝日の刑事ドラマ枠では多少あったのかもしれないが、女性の捜査官が活躍するものは日本テレビ系の火曜サスペンス劇場の裁判モノなどでたまにあるぐらいだった。最初に『科捜研〜』を放送した「木曜ミステリー」枠もスペシャルドラマだ。

その後日本で「CSI」や「ER」など医学や科学を題材にしたドラマが話題になり、なんとなく古臭かった日本の『科捜研の女』は一気にこのジャンルの先端を行くドラマになった。日本で起こる事件を日本の警察の科学捜査班が解決していく見易さと、30代女ざかりの沢口靖子は美しく、押しも押されぬ「テレ朝看板ドラマ」の主演女優として地位を確立していった。
そして靖子は、結婚も出産もせず、11年も自分の幸せを省みずに事件解決の為に頑張ってしまった。

気がつけば共演者は内藤剛志や小野武彦、斉藤暁に田中健と、どれもシブ過ぎるオヤジばかり。このメンツじゃあ不倫する気さえ起きない靖子。ひとりだけ若い研究員の男・乾健児(泉政行・実年齢29才)も15才も年下で、後輩や弟というよりは、ドラマ同様(榊マリコの)ペットとしか見る事ができない靖子。同世代の共演者・若村麻由美とグチを言い合う靖子。アラフォー過ぎの靖子。

もう、いろんな沢口靖子の悲哀がたっぷりつまったドラマが『科捜研の女』なのである。

とはいえ、『科捜研の女』の人気がこうも続くのは、昔は見れなかった沢口の演技力が大きくアップしたことも影響している。NHKで放送された沢口主演の舞台、「ミヤコ蝶々物語」。を見た人なら分かると思うが歌に踊りに若かりし頃のミヤコ蝶々を演じる靖子は今や女優として爛熟期。セリフ棒読みだった頃を思うと相当の努力があったのだろう。

第3話のエピソードを少し。貧しさゆえ振り込めサギの片棒を担いだ友達を悔しく思う乾(泉政行)を「彼を信じて事件の解決をする事も大切」と静かに諭すマリコ。後悔に泣く乾の友達の病室をひっそりと出るマリコ。何事も“控えめ”がカッコイイ沢口靖子
大人の女はこうでなくちゃ!
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)

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