松山ケンイチ(撮影:野原誠治)
 2001年、ホリプロ×雑誌「Boon」×PARCOの共同企画ホリプロ男性オーディション「New Style Audition」で16,572人の中からグランプリ受賞しデビューした俳優、松山ケンイチ。「男たちの大和/YAMATO」に出演し注目を集めると共に2006年に挑んだ人気コミックの実写版「デスノート」でLを演じ、爆発的人気を得る。その後も「人のセックスを笑うな」、「デトロイト・メタル・シティ」など様々なキャラクターを見事に演じわけ、日本演劇界に唯一無二の輝きを放っている。6月6日に公開される主演最新作「ウルトラミラクルラブストーリー」では1人の女性を一途に思い続ける天真爛漫なキャラクター、陽人を演じた。自身の故郷である青森でのオールロケ、麻生久美子との初共演で松山が見出した物とは?

――最初に台本を最初に読んだ時にどのような感想を抱きましたか?

松山ケンイチ:(以下、松山)変わった話だなあと思って。どのジャンルにも属さないというか、ジャンル分けできないなあと思いました。一回読んだだけでは理解できないですし。そこで、監督の前作である「ジャーマン+雨」を見たんですが、それもジャンルとか枠にはまっていない感じがして。印象的だったのは人の持つエネルギーとか生命力みたいのがすごく出てるなと思って。

――松山さんが演じた陽人というキャラクターについて、脚本を読んだ時にどう思ったか、演じていくうちに変化はあったか教えてください。

松山:最初に脚本を読んだ時は、“破滅していく人”だなと思いましたね。僕の中で農薬っていうのがアルコールだったりドラッグだったりそういう類のものとして捉えてた部分があって。どんどん自分の身を滅ぼしていくキャラクターだなと。でも演じていくうちに、まっすぐで、素直で、こういう人が奇跡をおこせるんだって思ったんですね。陽人のキャラクター作りで監督に言われたのは、共演の幼稚園児達の動きをよく見て欲しいっていう事と、陽人と同じにおいがするから、ドニー・ラヴァンという俳優さんのお芝居も見てくださいって。陽人っていうのはいつも違うことを試したがってる人だから、僕も映画の中で同じ芝居をしてませんし、僕自身も色々な事を試してたりしてましたね。すごく楽しかったです。

――横浜監督とお仕事をした感想を教えてください。

松山:監督は、考えててることを表現する力がすごいです。後、生命力を感じさせる演出が素晴らしいなと思いました。同じ青森出身ということがあって、最初から親近感と安心感があったので、現場でもスムーズに芝居ができました。

――現場で監督に自分の意見を言うこともありましたか?

松山:その時々にやりますけど、基本は監督に何も言わないで勝手にやりますね。とりあえずやってみないと何もわからないから、まずやりますね。監督はそれを見て、「次は後ろ向きに走ってください」とか「壁にはりついてください」とか、そういう動きの演出をしてくれて。そこは監督の考える“陽人像”ですし、そこについていきましたね。