iPhone 3Gは本当の黒船!世界のケータイ文化を日本に連れてくる【世界のモバイル】
日本でiPhone 3Gが発売開始されてからほぼ1か月が経った。様々な魅力を備えているiPhoneだが、日本の携帯電話ユーザーの利用スタイルにも大きな影響を与えそうである。
■海外メーカー製品も日本でヒットする
iPhone 3Gはその機能や使い勝手、デザインなどが高い評価を受けているが、万人向けの端末とはいいにくい面もある。たとえば音声通話やメールの長文入力を多用する人なら既存の携帯電話を利用したほうが使い勝手がよいケースも多い。またタッチパネルは指先で軽く触れるだけで操作できるが爪先やペンなどでは操作できず、爪の長い女性などにはやや使いにくいのも事実だ。iPhoneはもちろん現時点で最も優れた携帯端末の1つであるが、「iPhoneが携帯電話の究極の姿」とは断定するのは早計だろう。あくまでも進化系の1つの姿と考えたほうがよい。たとえば海外に目を向けて見れば、メールを多用するビジネスパーソンは結局iPhoneではなくBlackBerryを使っていたりするからだ。
さてiPhoneについては今述べたような部分も含め賛否両論あるだろう。しかし日本でのメディアの取り上げ方や実際に利用しているユーザーからあがっている高い評価には注目するべきだ。
これまで日本では「日本人向けの携帯電話は日本人が開発したものしか売れない。海外で外国人が開発したものは日本人の嗜好に合わないものだ」という偏見や意見が大多数であった。確かにこれまで日本で発売されてきた海外メーカーの携帯電話は爆発的なヒットには至っていない。
しかしiPhoneはどうだっただろうか。
iPhoneは日本市場や日本の文化などは一切考慮されていない端末だ。そもそも特定の市場を意識して開発されたものでさえない。iPhoneが日本に登場する以前は「日本向けに多少のカスタマイズされるかもしれない」という推測もあったが、Appleがわざわざ日本市場向けだけにハードウェアをカスタマイズすることは結局なかったのだ。なぜならiPhoneは「たった1機種」しか生産しないことで、大幅なコストダウンを図った製品だからだ(メモリ容量と外装の色は別として)。Appleの製品が世界中で受け入れられているのは、国籍や男女の差を越えて誰もが使いやすい“ユニバーサルデザイン”的な設計思想をもっているからだろう。
すなわちiPhoneが日本でもヒットを飛ばしているということは、“海外の製品でも海外のユーザーが使いやすいと感じたものならば日本でも売れる”ということを証明したことになる。日本の消費者もこれまでは「海外の端末は使いにくいだろう」という先入観があったかもしれないが、iPhoneの登場により今後は機種変更時など海外の端末にも目を向ける機会が増えていくのではないだろうか。
■海外の先駆者はすでに"iPhone的"な使い方を体験
iPhoneはパケット定額を基本として利用する端末で、そのためメールの利用もPushメールサービスを利用すれば、会社やISP、Gmailなどのメールをそのまま利用することも可能だ。Softbankは"@i.softbank.co.jp"というメールアドレスをiPhoneユーザーに提供しているが、これは既存の日本式の携帯メールに慣れているユーザーへ配慮したものとも考えられる。
ちなみに海外でiPhoneを発売する通信事業者はこのような事業者メールアドレスのサービスは行っていない。そもそも海外では日本のような通信事業者固有のメールアドレスを携帯電話で使う文化はほとんど浸透していないし、積極的に利用しようという動きも見られない。携帯電話でしか利用できないメールは使い勝手が悪いということもあるが、すでにPCの普及が進んでいる多くの先進国では誰もが複数のメールアドレスをもっている。それらを携帯メールにいちいち転送するのは面倒なだけだ。海外では携帯メールではなくPCでも利用するメールをそのまま携帯電話で利用する使い方が一般的になっている。
日本でもiPhoneの登場で、海外と同じようにPCメールを携帯端末で使っていくユーザーが今後増えてくるのではないだろうか。インターネット端末であるiPhoneを使い始めれば、専用メールアドレスを使わなくともGmailなどをそのまま利用したほうが使い勝手がよい、と考えるユーザーも増えていくと思われる。
ところで海外では一般的に携帯電話で利用するメッセージはSMSだ。これを見て「日本はメールを使っているから進んでいる」という声も聞かれる。しかし海外のビジネスマンやアーリーアダプターなどの先駆者的なユーザーは、SMSだけではなくPCのメールも普通に利用している。メールの利用に関しては、実は海外のユーザーのほうが日本よりも進んでいる面もあるのだ。名刺にはGmailのアドレスしか書かず、PCでも携帯電話でもGmailだけを使うというユーザーも多い。そして海外の先駆者的なユーザーたちは携帯コンテンツサービスも利用せず、スマートフォンから直接インターネットに接続してGoogleやYahoo!などのサービスを利用していることも多い。
日本のiPhoneもこれまでの携帯コンテンツサービスは利用できず、直接インターネット上のWEBサービスなどを利用することになる。天気予報を知りたければ直接ネットにアクセスして調べればよく、毎月数百円のコンテンツ利用料金を支払う必要もない。PCと同じ環境をiPhoneでも利用できるならば、これまで利用してきた携帯電話専用の各種サービスは不要になるわけだ。
さらに海外でiPhoneやスマートフォンを利用している利用者は最新のWEBサービスをPCでも携帯電話でもシームレスに利用している。Googleに限らずYouTube、Twitter、Facebook、Frickrといったサービスを利用して国を越えた情報の共有やユーザー同士の交流も進んでいるのだ。海外ではこのように携帯電話や通信事業者に特化していない、最新のWEBサービスを携帯電話でもそのまま利用するユーザーが増加している。
iPhoneは日本の携帯電話業界に新しい風を持ち込んだだけではなく、世界中のユーザーたちと全く同じ体験を提供してくれるデバイスでもあるわけだ。iPhoneを通して世界の最新のサービスに触れることができるというのは、iPhoneユーザーならではの特権でもあるといるだろう。
■これもオススメ!海外モバイル通信コラム
・EMONSTERで700円のパケット定額を利用する in 不夜城マカオ
・iPhone対抗というのは間違いだ!Samsung「OMNIA」の真の姿
・オリンピック間近 北京のネット環境は意外と大丈夫
・世界最大のケータイ市場はメーカー乱立 - 中国携帯電話最新事情
・海外でのケータイの使い方!GWの海外旅行には携帯電話を持っていきたい
・【世界のモバイル】記事バックナンバー
山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」
Copyright 2008 livedoor. All rights reserved.
■海外メーカー製品も日本でヒットする
iPhone 3Gはその機能や使い勝手、デザインなどが高い評価を受けているが、万人向けの端末とはいいにくい面もある。たとえば音声通話やメールの長文入力を多用する人なら既存の携帯電話を利用したほうが使い勝手がよいケースも多い。またタッチパネルは指先で軽く触れるだけで操作できるが爪先やペンなどでは操作できず、爪の長い女性などにはやや使いにくいのも事実だ。iPhoneはもちろん現時点で最も優れた携帯端末の1つであるが、「iPhoneが携帯電話の究極の姿」とは断定するのは早計だろう。あくまでも進化系の1つの姿と考えたほうがよい。たとえば海外に目を向けて見れば、メールを多用するビジネスパーソンは結局iPhoneではなくBlackBerryを使っていたりするからだ。
これまで日本では「日本人向けの携帯電話は日本人が開発したものしか売れない。海外で外国人が開発したものは日本人の嗜好に合わないものだ」という偏見や意見が大多数であった。確かにこれまで日本で発売されてきた海外メーカーの携帯電話は爆発的なヒットには至っていない。
しかしiPhoneはどうだっただろうか。
iPhoneは日本市場や日本の文化などは一切考慮されていない端末だ。そもそも特定の市場を意識して開発されたものでさえない。iPhoneが日本に登場する以前は「日本向けに多少のカスタマイズされるかもしれない」という推測もあったが、Appleがわざわざ日本市場向けだけにハードウェアをカスタマイズすることは結局なかったのだ。なぜならiPhoneは「たった1機種」しか生産しないことで、大幅なコストダウンを図った製品だからだ(メモリ容量と外装の色は別として)。Appleの製品が世界中で受け入れられているのは、国籍や男女の差を越えて誰もが使いやすい“ユニバーサルデザイン”的な設計思想をもっているからだろう。
すなわちiPhoneが日本でもヒットを飛ばしているということは、“海外の製品でも海外のユーザーが使いやすいと感じたものならば日本でも売れる”ということを証明したことになる。日本の消費者もこれまでは「海外の端末は使いにくいだろう」という先入観があったかもしれないが、iPhoneの登場により今後は機種変更時など海外の端末にも目を向ける機会が増えていくのではないだろうか。
■海外の先駆者はすでに"iPhone的"な使い方を体験
iPhoneはパケット定額を基本として利用する端末で、そのためメールの利用もPushメールサービスを利用すれば、会社やISP、Gmailなどのメールをそのまま利用することも可能だ。Softbankは"@i.softbank.co.jp"というメールアドレスをiPhoneユーザーに提供しているが、これは既存の日本式の携帯メールに慣れているユーザーへ配慮したものとも考えられる。
ちなみに海外でiPhoneを発売する通信事業者はこのような事業者メールアドレスのサービスは行っていない。そもそも海外では日本のような通信事業者固有のメールアドレスを携帯電話で使う文化はほとんど浸透していないし、積極的に利用しようという動きも見られない。携帯電話でしか利用できないメールは使い勝手が悪いということもあるが、すでにPCの普及が進んでいる多くの先進国では誰もが複数のメールアドレスをもっている。それらを携帯メールにいちいち転送するのは面倒なだけだ。海外では携帯メールではなくPCでも利用するメールをそのまま携帯電話で利用する使い方が一般的になっている。
日本でもiPhoneの登場で、海外と同じようにPCメールを携帯端末で使っていくユーザーが今後増えてくるのではないだろうか。インターネット端末であるiPhoneを使い始めれば、専用メールアドレスを使わなくともGmailなどをそのまま利用したほうが使い勝手がよい、と考えるユーザーも増えていくと思われる。
ところで海外では一般的に携帯電話で利用するメッセージはSMSだ。これを見て「日本はメールを使っているから進んでいる」という声も聞かれる。しかし海外のビジネスマンやアーリーアダプターなどの先駆者的なユーザーは、SMSだけではなくPCのメールも普通に利用している。メールの利用に関しては、実は海外のユーザーのほうが日本よりも進んでいる面もあるのだ。名刺にはGmailのアドレスしか書かず、PCでも携帯電話でもGmailだけを使うというユーザーも多い。そして海外の先駆者的なユーザーたちは携帯コンテンツサービスも利用せず、スマートフォンから直接インターネットに接続してGoogleやYahoo!などのサービスを利用していることも多い。
日本のiPhoneもこれまでの携帯コンテンツサービスは利用できず、直接インターネット上のWEBサービスなどを利用することになる。天気予報を知りたければ直接ネットにアクセスして調べればよく、毎月数百円のコンテンツ利用料金を支払う必要もない。PCと同じ環境をiPhoneでも利用できるならば、これまで利用してきた携帯電話専用の各種サービスは不要になるわけだ。
さらに海外でiPhoneやスマートフォンを利用している利用者は最新のWEBサービスをPCでも携帯電話でもシームレスに利用している。Googleに限らずYouTube、Twitter、Facebook、Frickrといったサービスを利用して国を越えた情報の共有やユーザー同士の交流も進んでいるのだ。海外ではこのように携帯電話や通信事業者に特化していない、最新のWEBサービスを携帯電話でもそのまま利用するユーザーが増加している。
iPhoneは日本の携帯電話業界に新しい風を持ち込んだだけではなく、世界中のユーザーたちと全く同じ体験を提供してくれるデバイスでもあるわけだ。iPhoneを通して世界の最新のサービスに触れることができるというのは、iPhoneユーザーならではの特権でもあるといるだろう。
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山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」
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