【世界のモバイル】iPhone対抗というのは間違いだ!Samsung「OMNIA」の真の姿
シンガポールで開催された通信関連イベント「CommunicAsia 2008」で、Samsungはマルチメディアやビジネス利用に優れたスマートフォン「OMNIA」を発表した。iPhone対抗とも言われるOMNIAだが、展示会場で実際に触れたOMNIAにはiPhoneの影響は一切感じられないものだった。
■設計思想が異なるOMNIAとiPhone
Samsungが発表したOMNIAはベースにWindows Mobile 6.1 Professionalを搭載したスマートフォンである。しかしユーザーインターフェース(UI)はタッチパネルUIである独自の「TouchWIZ UI」を搭載しており、一見するとWindows Mobile端末には見えないルックスとなっている。また指先で画面をタッチしての操作も可能だ。
このような操作体系や全面がディスプレイの形状から、OMNIAはAppleのiPhoneに対抗した端末に思えるかもしれない。しかし実際に操作してみるとわかるのは、OMNIAとiPhoneの設計思想の違いだ。iPhoneはPCとのシンクロが容易であり、インターネットとの親和性も高い。情報やデータを持ち運ぶのには最高のデバイスかもしれない。一方OMNIAはそれ単体でもフル機能を備えた端末であり、1台だけで完結できるデバイスだ。たとえばiPhoneのカメラは標準レベルのものだが、OMNIAのカメラは500万画素、AF対応、スマイル機能など市販のデジカメに対抗できるレベルのものだ。入力方法も指先だけではなくスタイラスペンも利用できる。
ではSamsungはなぜOMNIAに高画質カメラを搭載しているのだろうか? iPhoneよりスペックをあげたかったからだろうか?
答えは単純で「OMNIAそのものがデジカメになること」を想定しているからだと感じる。一方iPhoneは別のデジカメで撮影した写真をPCに保存しておき、それを簡単に持ち出せる、という思想だろう。だからiPhoneの内蔵カメラは標準レベルのもので十分と考えているのではないだろうか。なお、ここでデジカメの機能を取り上げて「どちらが優れているか」と議論することは意味が無い。設計思想、ターゲットユーザーが全く異なる両デバイスを同じ土俵の上で比較することがそもそも間違いなのだ。
SamsungはOMNIA以前にもいくつかのタッチパネルUI搭載端末を発売している。しかしそれらは独自のOSを搭載したものであり、スマートフォンと呼ぶには若干非力なスペックだった。しかしそれらの端末もOMNIAのTouchWIZ UIと同系のUIを搭載している。またSamsungのローエンド携帯電話とOMNIAを比較してみると、メニューアイコンなどはほぼ統一されたものが利用されている。すなわちOMNIAはiPhoneが出てきたから対抗するために出したものではなく、Samsungの全端末ラインナップの中の1つに属する製品であり、フラッグシップモデルとしてあらゆる機能を詰め込んで開発された端末であるわけだ。外観がiPhoneと似ていようが、この設計思想の違いは製品の機能や使い勝手に現れてくる。10分も操作してみれば両者が「似て非なるもの」であることに気がつくだろう。
またOMNIAがWindows Mobile OSを採用しているのは「Windows Mobile OSを搭載した端末」を開発しようとしたものではないようだ。マルチメディア、インターネット、そしてビジネスという3つの用途に適した端末のOSとしてWindows Mobileを採用した、ということだそうだ。たしかに「はじめにOSを決める」開発を行うなら、わざわざほかのSamsung端末と類似したUIを搭載する必要もなかったはずだからだ。
■OMNIAは携帯電話からのアプローチ
日本でもWindows Mobileスマートフォンは発売されており、一定のユーザー数は獲得しているようだ。しかし販売数が伸び悩んでいるためか、最近ではスマートフォンでありながら「ケータイ」ライクなUIを備えたものも出てきている。
OMNIAも表面のUIはWindows MobileではなくSamsungのものだ。しかしこのUIはOMNIA専用に開発したのではなく、過去の同社の資産の延長のものになっている。すなわち携帯電話を開発していく過程の上で「使いやすいUIとは何か」を追求していった結果が、そのままOMNIAに反映されたということだろう。
今後日本でも様々なスマートフォンが登場するだろうが、OMNIAのようにカスタマイズされたUIを搭載した製品も出てくることだろう。ではユーザーにとって使いやすいUIはどのように開発すべきだろうか?OMNIAのように携帯電話向けのUIからアプローチし、それをスマートフォンに搭載することも一つの方法ではないだろうか。
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山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」
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■設計思想が異なるOMNIAとiPhone
Samsungが発表したOMNIAはベースにWindows Mobile 6.1 Professionalを搭載したスマートフォンである。しかしユーザーインターフェース(UI)はタッチパネルUIである独自の「TouchWIZ UI」を搭載しており、一見するとWindows Mobile端末には見えないルックスとなっている。また指先で画面をタッチしての操作も可能だ。
Samsung OMNIA |
ではSamsungはなぜOMNIAに高画質カメラを搭載しているのだろうか? iPhoneよりスペックをあげたかったからだろうか?
答えは単純で「OMNIAそのものがデジカメになること」を想定しているからだと感じる。一方iPhoneは別のデジカメで撮影した写真をPCに保存しておき、それを簡単に持ち出せる、という思想だろう。だからiPhoneの内蔵カメラは標準レベルのもので十分と考えているのではないだろうか。なお、ここでデジカメの機能を取り上げて「どちらが優れているか」と議論することは意味が無い。設計思想、ターゲットユーザーが全く異なる両デバイスを同じ土俵の上で比較することがそもそも間違いなのだ。
SamsungはOMNIA以前にもいくつかのタッチパネルUI搭載端末を発売している。しかしそれらは独自のOSを搭載したものであり、スマートフォンと呼ぶには若干非力なスペックだった。しかしそれらの端末もOMNIAのTouchWIZ UIと同系のUIを搭載している。またSamsungのローエンド携帯電話とOMNIAを比較してみると、メニューアイコンなどはほぼ統一されたものが利用されている。すなわちOMNIAはiPhoneが出てきたから対抗するために出したものではなく、Samsungの全端末ラインナップの中の1つに属する製品であり、フラッグシップモデルとしてあらゆる機能を詰め込んで開発された端末であるわけだ。外観がiPhoneと似ていようが、この設計思想の違いは製品の機能や使い勝手に現れてくる。10分も操作してみれば両者が「似て非なるもの」であることに気がつくだろう。
またOMNIAがWindows Mobile OSを採用しているのは「Windows Mobile OSを搭載した端末」を開発しようとしたものではないようだ。マルチメディア、インターネット、そしてビジネスという3つの用途に適した端末のOSとしてWindows Mobileを採用した、ということだそうだ。たしかに「はじめにOSを決める」開発を行うなら、わざわざほかのSamsung端末と類似したUIを搭載する必要もなかったはずだからだ。
OMNIA(左)と、非スマートフォンのTouchWIZ(右)。UIは同じだ |
ハイエンドのOMNIA(左)もスタイルモデルのSoul b(右)もメニューアイコンは同じデザイン |
■OMNIAは携帯電話からのアプローチ
日本でもWindows Mobileスマートフォンは発売されており、一定のユーザー数は獲得しているようだ。しかし販売数が伸び悩んでいるためか、最近ではスマートフォンでありながら「ケータイ」ライクなUIを備えたものも出てきている。
OMNIAも表面のUIはWindows MobileではなくSamsungのものだ。しかしこのUIはOMNIA専用に開発したのではなく、過去の同社の資産の延長のものになっている。すなわち携帯電話を開発していく過程の上で「使いやすいUIとは何か」を追求していった結果が、そのままOMNIAに反映されたということだろう。
今後日本でも様々なスマートフォンが登場するだろうが、OMNIAのようにカスタマイズされたUIを搭載した製品も出てくることだろう。ではユーザーにとって使いやすいUIはどのように開発すべきだろうか?OMNIAのように携帯電話向けのUIからアプローチし、それをスマートフォンに搭載することも一つの方法ではないだろうか。
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山根康宏
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