細木数子の参拝作法は「誤り」 全国の神社から苦情
音をたてない拍手で神社のお参りをする女性が急に増えている。これは「葬儀」の際のやり方で間違った作法なんだそうである。占い師の細木数子さんがテレビの番組で指南したのを真に受けてしまったことが原因のようだ。日本の神社を総括する「神社本庁」には、全国の社総代、氏子から苦情が寄せられている。
細木流「音をたてない」は葬儀の際の作法
東京練馬・石神井の「氷川神社」のホームページのトップには2007年2月28日現在、こんな文章が綴られている。
「ところで最近、お参りをする時に音をたてないで拍手をする女性を時々見かける。どうも去年の年末にテレビで某占い師が『女性は拍手の音をたてないもの・・・』というようなことをしゃべったようなのである。これは大きな間違いである。音をたてない拍手は”忍び手”といって、葬儀の際の作法なのである」
「某占い師」というのは細木さんの事。実は、細木さんは06年末だけに限らず、「正しい神社へのお参りのし方」をずっと指南してきた。「男性と女性のお参りのやり方は異なる」とし、男性は「二礼、二拍手、合掌、一礼」で、女性は「二礼、合掌、一礼」という説明だ。つまり、女性は拍手をしないものだというわけだ。これを「細木信者」といわれる多くの女性ファンは信じたようだ。
ブログを検索すると、こんな文章が次から次に見つかる。
「昨夜、テレビで細木数子さんが神社への参拝の仕方を1礼合掌2礼と言っていたのを思い出してやってみると、友達も『女は手を叩いてはいけないんだよね』と言って同じ方法で参拝していた。(同じテレビ番組みていたんだ)」
「昨日の夜テレビで見た『細木数子の参拝作法』をばっちり習得して、神様仏様に失礼のないようお参り」
「夫婦の場合、奥さんは少し後ろに下がって並んで、旦那さんが2拍手する時に奥さんは拍手せずに手を合わせる。細木先生の番組での初詣の作法の通りに参拝しました」
「思い違いがあったようだが、抗議する気はありません」
一方で細木流に反論するブログもある。
「柏手は元々貴い方をお出迎えする時の最高の敬礼作法から生じたらしぃですので。細木数子の言うことを実行すると結果的に神様に不敬を働いてしまうと思います」
「細木さん、あの作法、『ズバリ間違ってますわよ』って内容でした」
「でたらめもいいところ。神社をばかにすんな!しかしメディアがしたたかなのは、最後にちゃんと『一部の神社では参拝の仕方が違う場合があります』ってテロップ出すんです。批判対策に」
「神社本庁」には細木さんの「指南」に対して全国の社総代、氏子から苦情が寄せられている。日本の神社では例外無く、男女共に拍手をするというのが習わしだからだ。「神社本庁」はJ-CASTニュースの取材に対し、
「間違った参拝作法をテレビで公言している。(細木さんサイドに)指導してほしい、という苦情がかなりきています」
と打ち明ける。やはり、音を立てない拍手は“忍び手”で、葬儀の際の作法。男女共に「二礼、二拍手」なのだという。
しかし、不思議なことに、苦情が多いにも関わらず、細木さんへの「指導」には及び腰なのだ。神社本庁は、
「 (細木さんに対し) 特に今後何をするとかはありません。あの方の独自の理論なのでしょうし、人の信じていることを否定はできません」
という。
先の「氷川神社」でも、
「誰(細木さん)でも思い違いがあり、誤解されたようだ。私どもは抗議する気はありませんし、参拝に来られた方が望めば、正しいやり方を教えていくということです」
「参拝作法が間違い」との指摘に細木さんは何と答えるのか。J-CASTニュースは何度も「細木数子事務所」に連絡を取ったが、「担当者が不在で答えられない。いつ帰ってくるかわからない」
を繰り返すだけだった。