うっかりミスで80万円! 意外と知られていないクルマの高額罰金6選
ついうっかり……では済まされない
クルマに関する法律はたくさんあって、交通ルールを違反したときの罰則は100以上もあるという。法律家でもない限り、これらに精通することはないだろうが、なかには「このぐらいの違反で、こんなにペナルティ=罰金が高いのか」というケースもあるので、そうした意外に知らない高額罰金の違反をいくつか紹介しておこう。
1)検査標章(車検シール)の張り忘れ
フロントウインドの上部に貼ってある、車検の有効期限が記されている「車検シール」正式には「検査標章」というのだが、これは表示義務があり、うっかり貼り忘れていたりすると50万円以下の罰金(道路運送車両法 第109条8項)になる。ユーザー車検を行った人は、車検合格後に速やかに貼り換えないと大事になることも……。
民間車検場に車検を出して、書類手続きの関係で「検査標章」が後日送られてくる場合も、それまでの間「保安基準適合標章」を貼っていればOKだが、車検合格後15日以内に張り替えないと違反になるので要注意。
2)ナンバープレートを隠す・カバーをつける・改ざんする
ナンバープレートには、意外に厳しいルールがあって、とくに平成28年4月1日からはナンバープレートの表示義務が明確化されている。ナンバープレートの数字を改ざんしたり、車両に付随する装備や搭載物などで隠した場合、50万円以下の罰金(道路運送車両法 第109条第1項)で、変造したり偽造したりすると、3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金(道路運送車両法 第106条)。紛らわしいものを使用すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(道路運送車両法 第106条の5)となる。
3)車検切れのクルマ、保険切れのクルマ
車検切れのクルマで公道を走ってしまった場合、「無車検車運行」となり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金(道路運送車両法第58条1項、108条)。そして通常車検とセットになっている自賠責保険が切れてしまうと、「無保険車運行」で、1年以下の懲役または50万円以下の罰金(自動車損害賠償保障法第5条、86条の3)。
もっともほとんどのクルマは、新車のときに37カ月分の自賠責保険に入るので、車検が切れても自賠責保険だけは1カ月ほど残っている場合が多い。ただし、自賠責保険に加入していても、保険の証明書を携帯していなかった場合は、自賠責保険証明書不携帯となり、30万円以下の罰金が科せられてしまうので要注意。無車検車運行かつ無保険車運行のダブルでの違反となると重罪で、1年6カ月以下の懲役または80万円以下の罰金に。車検の期限はしっかり把握して、余裕を持って更新するようにしよう。
不正改造は懲役となる可能性も……
4)保安基準の不適合
保安基準に適合しないクルマ、要は車検に通らないクルマにもペナルティがある。整備不良のクルマで、整備命令を出されてそれに従わない場合は、50万円以下の罰金(道路運送車両法第54条)。タイヤのはみ出し、運転席などへの着色フィルム、リヤウイングのはみ出しなど、保安基準に適合しなくなるような自動車の改造、装置の取り付け、取り外しなど(不正改造行為)は、不正改造等の禁止(道路運送車両法第99条の2)違反で、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられる。
5)飲酒運転の同乗・黙認
飲酒運転が重大過失であるのはよく知られているが、本人が飲酒運転をしなくても、厳しい罰則が待っている場合がある。たとえば酒を飲んで運転した人の同乗者も、2年以下の懲役または30万円以下の罰金(運転者が酒気帯び運転)もしくは3年以下の懲役または50万円以下の罰金(運転者が酒酔い運転)。
お客がクルマで来ていることを知りながら、自宅やお店で酒を提供し、飲酒運転を黙認した場合も同罪。お酒を飲んでいる人にクルマを提供した場合は、さらに罪が重く、酒酔い運転だと5年以下の懲役または100万円以下の罰金、酒気帯び運転の場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金。飲酒運転は運転者の周囲の人も運転者同様に罰せられることになっている。
6)番外編・2億円の罰金
個人に無関係だが、メーカー(法人)が、自動車の量産に必要な「型式指定」の審査で不正をし、立入検査を受けて虚偽報告などを行った場合、2億円以下の罰金になる(道路運送車両法)。