文在寅大統領

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 韓国国会議長の「天皇陛下謝罪要求」では、河野太郎外相の抗議が“なかったこと”に……。日韓関係がこじれているそんな折も折、今度は首都ソウルの市議会で「日本製品不買条例」が発議された。提出したのは「共に民主党」の市議で、日本の「戦犯起業」製品を使ってはいけないという趣旨だとか。市役所や教育庁なども使用禁止の対象というから、政官あげての不買運動ということになる。

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 元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏が解説するには、

「条例案を提出した市議は、朴元淳(パクウォンスン)市長と同じ党の議員で、市長の息が掛かった人物と言えるでしょう。そして朴市長は、李洛淵(イナギョン)首相と並ぶ次期大統領有力候補です。李首相はもともと知日派でしたが、大統領のポストがちらついているせいで、今回の議長発言を受け、『日本の一部の政治家や元外交官らが嫌韓の流れに迎合』と言い、反日に舵を切った。要は次期大統領候補たちの間で、反日がエスカレートしているわけです。なお、朴市長はかつて、国際民衆法廷で慰安婦問題の罪を問い、韓国代表の検事役として昭和天皇を起訴した人物でもあります」

文在寅大統領

 言ってみれば今回の条例案は、韓国の人口の5分の1を占める首都の、筋金入りの反日家であるトップの「お墨付き」を得たものであるというわけだ。

 通産省(当時)出身で、徳島文理大学の八幡和郎教授が指摘する。

「今回の条例案は、世界貿易機関(WTO)の最恵国待遇違反にあたる可能性があるでしょう。特定の国の製品を差別してはならないことになっているからです」

大統領から波及

「本気でヤルつもりか! そっちがその気なら、こっちだって‼」などと怒るだけストレスが溜まってバカを見る。ここは、どうして「お隣さん」は真っ当な判断ができないのだろうと、憐憫の情をもって見るのがストレス軽減のためには得策であろう。

「文在寅(ムンジェイン)政権が誕生して以降、日韓関係はここまで酷くなってしまいました」

 と、元駐韓大使の武藤正敏氏は肩を落とす。

「大統領の反日的な行動を見て、市議たちも自らの振る舞いを決める。大統領がバカなことは止めろと言えば、彼らもおとなしくなるはずなのですが……。今回の条例案は、国のトップの姿勢が市のレベルまで波及してきたことを物語っています。今の韓国では、日本に対してであれば何をやってもいい雰囲気が醸成され、『三・一独立運動の日』が近付いていることもあり、そうした空気がより強まっている。したがって、市民もこの条例案に呼応する可能性があります」

 事実、

「ユニクロや、在日韓国人が率いるロッテグループに対しても、不買運動が広がりつつある」(韓国ウォッチャー)

 再び武藤氏がこぼす。

「このような条例案が出てくるとは、正気の沙汰とは思えません」

 正気ではない人たちに何をどう咎(とが)めても通じることはない。嗚呼(ああ)、哀れ。

「河野大臣の発言を否定している件にしても、彼が韓国側に議長発言の撤回を要請しないはずはなく、レーダー照射の時と同じですが、どう考えても韓国がおかしい。韓国の人たちは、自分たちは正しいという歴史認識を持っていて、間違っている日本に文句を言われる筋合いはないという理屈で、河野大臣の発言も否定するのでしょう。それ以外に考えられません。呆れかえるばかりです。もうこれ以上、私に言わせないでください……」(同)

ずっと続く反日

 それにしても、隣国のこの行動は一体いつまで続くのか。

「2020年の総選挙を見据え、韓国は反日で盛り上がっています。東京五輪に南北統一選手団を送るというのも、総選挙に向けての世論アピールです」(前川氏)

 そしてその2年後の22年には統一地方選と大統領選が控える。とどのつまり、反日はずっと続くのである。

 こうして反日に明け暮れているうちに、韓国の失業率は上がり、経済協力開発機構(OECD)による景気先行指数(CLI)も下落傾向が見られ、

〈1997年の通貨危機以降最も強い景気の赤信号〉(1月15日付文化日報)

 との指摘も出る有り様。外に向かって居丈高に振る舞っても、内の米櫃(こめびつ)は空(から)になりかかっているというのだから、重ね重ね、いと哀れである。

「今の韓国を見ていると、外交官として私は40年間何を頑張ってきたのだろうと思ってしまいます。虚しいです……」(武藤氏)

 迷惑なお隣さんには本当に困り果てるばかりだが、他山の石とし、ああはならないように改めて我が身を律することにしよう。国際社会という「世間」の鼻つまみ者に成り下がるのだけは、誇りある日本国民としてご免である。魂(ソウル)まで腐りたくはない。

「週刊新潮」2019年2月28日号 掲載