by Magda Ehlers

150年以上にわたって科学者を悩ませてきた「なぜシマウマはしま模様なのか?」という謎には、「捕食者を避けるため」「体温をうまく制御するため」「社会的機能のため」といったいくつかの仮説が立てられましたが、いまだ結論は出ていないまま。ブリストル大学とカリフォルニア大学デービス校の科学者たちもこの謎を調査しており、新たに「吸血動物を避けるため」という説の証拠を追加しました。

Benefits of zebra stripes: Behaviour of tabanid flies around zebras and horses

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0210831

Why Do Zebras Have Stripes? To Shoo Away Flies. - The Atlantic

https://www.theatlantic.com/science/archive/2019/02/why-do-zebras-have-stripes-flies/583114/

Research reveals why the zebra got its stripes

https://phys.org/news/2019-02-reveals-zebra-stripes.html



研究を行ったTim Caro教授とMartin How博士のチームはビデオ分析技術を駆使し、イギリスのサマーセットでアブ科の虫とシマウマ、そしてしま模様のない馬を使って実験を実施。Caro教授はシマウマや足にしま模様がある種の馬はアブが多い地域に生息していることを2014年に論文にしており、またこのようなアブはしま模様の皮膚に着地するのが難しいと主張する研究者もいましたが、実際にシマウマをかもうとするアブが観察された研究はなかったとのこと。

撮影された映像が分析された結果、アブはシマウマを問題なく発見できるものの、その後の着地に失敗することが示されました。アブはシマウマに近づくとそのまま通り過ぎたり体にぶつかったりすることが多く、しま模様のない馬に比べて吸血の成功率は4分の1だったといいます。この理由について研究者は、しま模様がアブの視覚系を妨害しているとみているとのこと。アブはシマウマに近づくことができますが、ごく近くまで寄った時に、しま模様がアブの低解像度の目をくらませるのだとみられています。

さらに、しま模様のない馬にしま模様のコートを着せたところ、アブに対する抵抗力が増すことも示されました。



研究者たちによると、しま模様のコートを着た馬に近づいたアブは減速せず、その場を通りすぎたり馬にぶつかったりという様子が確認されたそうです。詳細な原因はわかっていませんが、「アブはしま模様の黒い部分を木と間違い、木と木の間にあたる白い部分を通過しようとした」という可能性や、「物がアブの視界を横切ったのと勘違いした」可能性があると研究者は述べています。

昆虫の視覚について研究するミネソタ大学のPaloma Gonzalez-Bellido氏は後者の考えに賛同しており、イカもこれと同様に捕食者の目をくらますためにしま模様を作り出すことに言及しました。Bellido氏は目くらまし効果のためにはしま模様の「太さ」と「方向が均一でないこと」が重要であるとしており、Caro教授は今後、太さや方向のパターンを変えたコートを使ってアブの行動が変化するかどうかを観察する予定です。

ただし、乗馬製品を作る企業に対してCaro教授は「まずは研究が必要なので、ライダー向けのしま模様の服は作らないでほしい」としています。蚊対策にしま模様の服を着るべきか?という問いに対して、「研究結果が出るまではコメントに慎重になっており、今のところ確証は得られていませんが」と前置きしつつ、Caro教授は「しま模様のTシャツはうまく機能するかもしれません」と述べました。