9月18日に開幕する18-19シーズンのチャンピオンズリーグ。接戦が予想されるグループはH組(ユベントス、マンU、バレンシア、ヤングボーイズ)、B組(バルセロナ、トットナム、PSV、インテル)、C組(PSG、ナポリ、リバプール、レッド・スター)、A組(アトレティコ、ブルージュ、ドルトムント。モナコ)。他の組はネームバリューのある強者が順当にベスト16入りしそうだ。

 昨季はローマとリバプール。一昨季はモナコが健闘したが、チャンピオンズリーグは、基本的には強者が順当に勝ち上がる傾向が続いている。過去5シーズンで4度優勝を遂げたレアル・マドリーがその象徴だが、後続集団の模様にも大きな変化がない。追うバイエルン、バルセロナ。そしてアトレティコにユベントス。これにプレミア勢が絡む展開だ。欧州内に漂うヒエラルキに大きな変化はない。

 登場チームが限られているので正直、ハラハラドキドキ感はいまひとつ。グループリーグの見どころは減っている。こう言ってはなんだが、決勝トーナメントさえ見ておけば、それで十分という感じだ。

 どこが勝つか分からない面白さ、ハラハラドキドキ感は、むしろ代表チームの戦いに宿っている。サッカー王国ブラジルを筆頭に、ヒエラルキは構築されているように見えるが、絶対的な王者はいない。スペイン、ドイツも思いのほか速く、王者の座から滑り落ちた。イタリアに至っては凋落の一途を辿るし、アルゼンチンもメッシを擁しながら、結局トップの座には就けなかった。

 フランスの優勝で終わったロシアW杯も、混戦と言えば混戦だった。好試合、接戦に遭遇する機会は、これまで以上だったように思う。

 代表戦の訴求力は上昇しつつある。代表よりクラブの概念が浸透している欧州も例外ではないのか。

 UEFAネーションズリーグ誕生の背景に潜む要素なのかもしれない。

 来る9月7日に第1回大会が開幕するこの新設大会。ユーロ、W杯予選に次ぐ欧州の代表チームの大会だ。レギュレーションを話すと長くなるので割愛するが、アイディアがいい。CLに勝るとも劣らないとてもよく練られた大会だ。企画力と実行力を高次元で備えたUEFA。欧州サッカーの発展はその力と密接な関係がある。

 その影響は日本を含む欧州以外の国も及ぶだろう。UEFAネーションズリーグが行われるのは、2018年9月から2019年6月。その間の国際マッチデーだ。欧州内に日程はいっそう過密になる。欧州以外の国々が、欧州各国の代表チームと親善試合を行いにくくなる。

 森保ジャパンとなった日本代表は、今年中に6試合行うことが決まっている。9月7日と11日にチリとコスタリカ。10月12日と16日にパナマとウルグアイ。11月の2試合は未定だ。

 すでに対戦が決まっている4ヶ国は、南米勢と北中米勢だ。残る2試合もそのいずれかか、アジア勢との対戦だろう。

 欧州の代表チームとの親善試合は、近年減少の一途を辿る。ハリルジャパン時代は、ホーム戦は2試合(ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア)のみ。海外での試合も、同じく2試合(ベルギー戦、ウクライナ戦)に限られる。次にいつ対戦できるか分からない状態だ。日本の交際範囲はまさに限定された状態だ。

 海外組が個人的に接触するしか手はない状態だ。その海外組だが、総数はわずかながら増えている。一時より若干回復しているとはいえ、名のあるクラブでプレーしている選手はごく僅かだ。日本人選手がプレーするクラブとして、唯一CL本大会出場をはたしたドルトムントも、香川は放出候補だと言われている。今季、チャンピオンズリーガー0になる可能性は高い。

 ロシアW杯で日本代表はベスト16入に進出。決勝トーナメント1回戦でベルギーと惜しい戦いを繰り広げた。しかしその結果、1人のプロ選手として大きく飛躍した選手はいない。クラブチームでは欧州のトップ32の中でプレーできずにいる。日本人選手のレベルが上がっているとは言えないのだ。日本代表選手の所属クラブを見る限り、ロシアW杯のベスト16に必然を感じることはできない。

 油断を感じずにはいられない。UEFAネーションズリーグという新機軸を設け、ポイント制を導入するなど切磋琢磨しながらレベルアップを図ろうとしている欧州が羨ましく映る。

 アジアもCLに続き、ネーションズリーグをいち早く導入すべき。そしてそのリーダー役を日本は務めるべき。そちらにエネルギーを注ぐべきではないか。欧州というトップグループを単独ではなく、アジアの近隣諸国と協力し合いながら追走すべき。でないと、アジアはいつまでたっても、世界で最もレベルの低い地域というポジションから抜け出すことはできない。韓国といがみ合っていても、切磋琢磨する関係になければ、欧州との差は広がるばかりなのである。