【酒とイタタ!】バーで出会ったスーパーハイスペック男子〜アメリカの精子バンクから精子提供要請が届く男〜その1〜
「自称クリエイター」から売れっ子芸能人まで、半ニートから高額所得者まで……幅広い社会人のるつぼ・下北沢のバーを中心に「一人飲み」歴10年以上のライター・きたざわ御神酒(おみき)です。酒の席で遭遇した男女の「へー」「うわー」「あら〜」「イタタ!」なヨモヤマ話をご紹介します。
超ハイスペックな人と出会えることもある
都会のバーでは、時に、とんでもないハイスペックな人物と遭遇します。『どっかの業界の大御所』『複数の会社の社長』『大企業のコンサル』『政治家』『よく見りゃ朝ドラ主演女優』などなど、いろんなタイプのハイスペッカーと「ふと気づけば隣に座って、ふつーに世間話をしている状況」……そんな、昼間の社会ではありえない出会いも、バーでの一人飲みの楽しみの一つ。名乗りもせずに会話して、その夜の酒を共に楽しんで終わり。な事もあれば、何度も遭遇して「けっこう仲良し」になっていくパターンもあります。
今回は、私が下北沢のバーで出会い、その後10年以上の友人付き合いを続けることになった、スーパーハイスペッカー独身男子・T君のお話。
一見そう見えない「地味な御曹司」
T君は私が一人飲みデビューしたての頃に出会った、一見、地味男子・当時27歳。下北沢が地元で、私の行きつけのバーに、中学の同級生男子3人組でよく飲みに来ていました。3人組の他の2人が、すらっと長身・ルックスと人当りのいいタイプだったので、T君は最初は『一番目立たない人』。お笑いコンビで言うなら『じゃない方』みたいな。3人組の他の2人については『特殊業界メディアの記者』『プロ用フォトラボスタッフ』という職業も早々に会話して知っていましたが、3人でいるときにあまり他のお客と話さなかったT君の情報だけはよく知らない、でもどうでもいい……最初はそんな存在。
ある時、T君が転職し、仕事の終り時間が遅くなったそうで。よく深夜〜明け方まで飲んでいた私と、『一人飲み同士』で出くわす機会が増えました。店にお客は2人だけで、他に相手もいないから世間話……という流れの中、『は!? なにそれ!? 』とツッコまないではいられない、彼の『異常なスペック』が判明していったのです。
たとえば、転職について。
私「最近、よく会いますね」
T君「転職……っていうか、仕事始めたら、時間ズレちゃって」
私(今までニートだったのか。それにしちゃ、すごい沢山飲んで、お金使ってたよな、この人)
「遅いお仕事なの?」
T君「取引先が海外なんで、あっちの営業時間じゃないと、仕事になんないんですよ」
私「海外?なんのお仕事なんですか?」
T君「化粧品とか雑貨の輸入です」
私「英語できるんだ!」
T君「英語……っていうか、まあ、いろいろ。中学時代に学校で問題起こして、途中から親にヨーロッパの寄宿学校にブッこまれちゃったんで」
私「ヨ、ヨーロッパの寄宿学校!? 」
……皆さんの周りに、中学からヨーロッパの寄宿学校に行ってたようなセレブ、います?私の周囲にはおりませんでした。一応モノ書きの私、「こいつ、何者なんだ!? 」と食いつき、収集した情報第一弾がこちら。
1:T君は中学の途中から高校までヨーロッパの寄宿学校にいた。学友は、某国の王子様などのスーパーセレブ揃いで、修学旅行にSPの警護がついてくる学友もゴロゴロいた。
2:大学はアメリカ。学費と生活費は親持ちだったが、小遣いを稼ぐために、在学中に日本にアメリカ雑貨の輸入会社を設立。日本の若い男性向けにNBAモデルのN●KEバッシュのブームを仕掛け、片手間会社だったが、当時の年収は20万ドル程度。
3:父は日本の超大手アパレルチェーンの社長だったが、現在は倒産(でも基本お金持ち)。現在T君は実家暮らし。バーで知り合った彼女(年上のショップ店員)と、家族ぐるみで交際中。
4:最近までニートをしていたが(定期的にニートになる、というか仕事をしないで休む時期を作るが、年収800万円を切りそうになると「そろそろ働こう」と仕事をしだす)、知人の引き合いで輸入系の会社を任せられ、今はいきなり社長に就任。
……なんでしょう?このセレブっぷり!そういえば彼、一人で来ると必ず、マスターにも「飲みなよ」と5杯でも6杯でも、自分が座ってる限りは酒をオゴり続けてました。更に本人も酒豪で、転職してからは、ほぼ毎日一人でバーに来て、酒代だけでも1日平均5000円は使ってる、ってことですよ、この27歳!そうか、セレブだったのか。偉ぶらないし、派手な格好もしてないから、全く気付かなかった。でも、本気のセレブの人って、そういうものかもしれない。
セレブすぎる男子の『逆コンプレックス』
映画の中の人のようなT君のセレブっぷりに驚いた私、
「すっげーセレブじゃん!私にもおごってよ!」
と冗談で言ったら「セレブじゃないけど、別にいいですよ。お好きなものをどうぞ」と普通に返されてしまい、恥ずかしくなって断りました。あげくに、酒も入ってたので私、説教しました。
「ホントにおごる、とか言わないでよ!冗談だよ?しょっちゅうこの店で会うのに、たかったりしたら、お互い楽しく飲めなくなるでしょ!いくらお金持ちでもそんなのダメだよ!」
冗談とはいえ、たかられた上に、逆ギレで説教。でも、T君はムッとするどころか……
「自分、冗談とか、感覚がめちゃんこズレてるとこがあるらしくて……」
シューン。え?ていうか……
「『めちゃんこ』って久しぶりに聞いた。古っ!」
更にツッコむ私。
堅実女子の皆様はご存知ですか?『めちゃんこ』って、1980年代に大ブームだったアニメの流行り言葉です。T君が幼児〜小学生の頃に、日本のほとんどの子供が使ってた言葉。酔っ払い女に『古い』と笑われ、T君は真っ赤になりました。
「自分、日本にいなかった時期が長いから、時代が止まってるんです!流行りのドラマとかも、2〜3年遅れでまとめて見てたりするから、言葉遣いとかも遅れてしまうようで……」
……なにこいつ!面白い!そして、いいヤツ!
T君が普段静かにしてたのは、どうやら、『上品で偉ぶらない』だけではなく。『セレブで帰国子女すぎる経歴で、一般的な日本の若者感覚に欠ける自分』に、逆コンプレックスを持っているようなのです。なので、自分から積極的には話さず、とんでもないセレブネタをまだまだ隠し?持っているわけなのですが……。
その後10年余の付き合いの中『はーーーーーー!? なんじゃその経歴!? 』という話がちょいちょい飛び出し、私、腰を抜かしたり、恩恵に預かったりするのです。ちなみに仲良くなったら、自社で輸入した海外の高級化粧品の「箱潰れ品」とか、いっぱいもらえました。
婚活女子のみなさん、本当に良い物件はこういったところにあるんですよ!真のセレブは地味だったりするんです。
とんでもないセレブ男子のハイスペック過ぎる過去はまだまだあった……!?衝撃の〜その2〜に続きます。