ミクシィは12月27日、子会社のフンザが運営するチケット売買サイト「チケットキャンプ」を2018年5月末をもって終了すると発表した。フンザの代表取締役である笹森良氏と取締役の酒徳千尋氏も同日付けで辞任した。

不正な転売の排除に向けて一歩前進した形だが、今後も他のサイトで転売が行われる可能性が高い。どのような対策が必要になってくるのだろうか。

「高額転売が社会的に強く非難される状況」を背景に閉鎖を決定

同社は今月7日、フンザが商標法違反と不正競争防止法違反の容疑で捜査を受けたため、調査委員会を設置していた。27日に発表された文書によると、調査委員会からは、「情報サイトの表示について、商標法違反又は不正競争防止法違反の疑念を生じさせるようなものであったことは否定できないと指摘されました」としている。

また、チケキャンの閉鎖を決めた背景には、

「コンサートチケットなどのインターネット上での高額転売が社会的に強く非難され、転売目的の購入行為について刑事罰まで科されるに至っている現在の状況、チケットの二次流通に関する法案整備の動きや、昨今の企業活動においては、単なる法令の順守にとどまらず、社会的な公正や倫理観・道徳観が求められていること」

があるという。

商標法と不正競争防止法に抵触したのは、あくまでも「ジャニーズ」や「宝塚歌劇」といった商標を使っていたからであり、転売自体が問題になったわけではない。しかし社会的な非難が高まるなか、サイトの継続が難しくなったということだろう。

「高額転売がはびこると、音楽業界の利益が減り、再生産ができなくなる」

チケットの不正転売に反対する、コンサートプロモーターズ協会の担当者は、「転売をなくすために取り組んできたことが実を結んだと思う」と同サイトの閉鎖を歓迎する。

しかしチケキャンが閉鎖したとしても、チケット流通センターやヤフオク!などで引き続き高額転売が行われる可能性は高い。担当者は、

「転売を法律で禁止することが望ましいと思っています。今月7日に行われたライブ・エンタテインメント議員連盟の総会では、転売を規制する法案が提案されました。来年には国会に提出される見込みです」

と今後の対策について語った。ライブ・エンタテインメント議員連盟は、自民党の石破茂衆院議員が会長を務めており、7日の総会にはサカナクションの山口一郎さんも参加していた。

そもそも高額転売は、消費者が困るというだけでなく、音楽業界そのものの存続に影響を及ぼすという。

「定価1万円のチケットが10万円で転売されていたとします。お客さんからすれば、本来は1万円のコンサートに10回行けたはずなのに、それが1回しか行けなくなってしまう。グッズも買えなくなってしまいますよね。そして業者からすれば本来は10回コンサートに来てくれたはずのお客さんが1回しか来てくれなくなるため、利益が減ってしまうわけです。音楽業界そのものが再生産できなくなってしまいます」

チケキャンは今月7日にサービスを停止し、すでに新規会員登録・新規出品・新規落札が出来なくなっている。現在、取引中のチケットについては、継続してやりとりできるものの、18年5月末には全ての機能が使えなくなる予定だ。