朝日新聞社は12月20日、韓国のアイドルグループ・SHINeeのジョンヒョンさんが残した遺書の全文を掲載したことは不適切だったというコメントを発表した。同社は、ジョンヒョンさんが自殺で亡くなった翌19日に、遺書の全文を朝日新聞デジタルに掲載。その後削除していた。

同社は、サイトにアップした「SHINeeメンバーの遺書を報じた記事の削除について」の中で、

「(全文掲載は)自殺報道に関する社内ガイドラインに抵触していました。また、世界保健機関(WHO)の『自殺予防 メディア関係者のための手引き』の趣旨に照らしても不適切と判断し、削除しました。社内のチェックが不十分でした。今後、再発防止に努めます」

としている。

WHOガイドラインは「遺書も掲載するべきではない」とメディア関係者に求めている

WHOの「自殺予防 メディア関係者のための手引き」(2008年改訂版日本語版)は、「自殺をセンセーショナルに扱わない」「自殺に用いられた手段を詳しく伝えない」といったことをメディア関係者に求めている。報道によって、自殺が誘発されてしまうことがあるからだ。

手引きの中には「写真や映像を用いることにはかなりの慎重を期する」という項目もあり、

「自殺をした人の写真を報道に使うこともすべできはない。(中略)それらの画像は、目立つところに掲載されるべきではなく、また美化するべきでもない。また、遺書も掲載するべきではない」

とある。今回の朝日新聞の報道は、手引きのこの箇所に抵触したものと思われる。