日本ハム・近藤健介【写真:石川加奈子】

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打率4割でシーズン終了へ、50打席以上で4割超えも過去には3人のみ

 日本ハムの近藤健介は、今季、開幕から絶好調で、4月、5月と打率4割をキープ。6月に入っても好調だったが、6月11日に椎間板ヘルニアを発症し登録抹消となった。しかし9月28日に復帰してからも好調を維持、現時点でも打率は4割を超えている。

 6月11日に登録抹消された時点で、近藤は150打数61安打、打率は.4067だった。復帰後の近藤は14打数6安打、打率.429で、通算打率を.409まで押し上げている。日本ハムは残り3試合、近藤はフル出場するとして、15打数5安打以上で4割をキープしたままシーズンを終えることになる。

 近藤はすでに225打席に立っている。100打席以上で、打率4割を超えてシーズンを終了した選手は、過去にいない。50打席以上で、打率4割を超えた選手も以下の3人だけだ。

原一朗 1937年秋(ライオン).441 (68打席34打数15安打)
宮川孝雄 1972年(広島).404 (62打席52打数21安打)
鶴岡一成 2004年(横浜).400 (60打席55打数22安打)

 原一朗は呉港中時代、初代ミスター・タイガースの藤村冨美男とバッテリーを組み、甲子園で優勝した捕手。太平洋戦争で戦死している。宮川は代打安打数186本のNPB記録を持つ代々の切り札。鶴岡一成は、横浜、巨人、DeNA、阪神で活躍した捕手。昨年まで現役だった。

 近藤健介も含め、4人のうち宮川を除く3人は捕手、捕手あがりだ。

選球眼も光る近藤、出塁率は驚異の.560

 近藤健介は、100打席以上でのNPB史上最高打率をマークする可能性が極めて高い。

【規定打席以上のNPBの打率5傑】

1バース 1986年(阪神).389(453打数176安打)
2イチロー 2000年(オリックス).387(395打数153安打)
3イチロー 1994年(オリックス).385(546打数210安打)
4張本勲 1970年(東映).3834(459打数176安打)
5大下弘 1951年(東急).3832(321打数123安打)

 近藤の先輩にあたる日本ハムの前身・東映の張本、東急の大下の名前もある。椎間板ヘルニアを発症しなければ、近藤は今季どこまで打率を上げたか。バースの記録を抜いたのではないかと惜しまれるところだ。

 近藤は安打製造機だが、同時に極めて選球眼が良い。安打数67に対して四球数は57、出塁率は驚異的な.560にもなる。出塁率が高いということは、打席が増えても打数がなかなか増えないことを意味する。これは安打1本当たりの打率が高くなることでもある。打率記録に挑戦するうえでは、非常に有利だ。そしてもちろん、チームへの貢献度も極めて高い。

 来季の近藤健介には、再び「打率4割」という夢の記録への期待がかかる。万全の体調で挑戦してほしいものだ。(広尾晃 / Koh Hiroo)