宮古島の観光名所での悲しい事故はなぜ起きた?

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 人生のハイライトシーンは、一瞬にして悲劇の一幕に変わった。風光明媚な日本有数のデートスポットで起きた痛ましい事故。なぜ男性は橋の欄干に駆け上るほど喜びを爆発させたのか。涙の真相を徹底取材。

 澄み切ったエメラルドブルーの海に伸びる、全長3540mの「希望の橋」。沖縄・宮古島と伊良部島を結ぶ「伊良部大橋」は、旅行情報サイト『トリップアドバイザー』が昨年発表した「日本の橋ランキング」で1位に輝くなど、2015年1月の開通以降国内でも有数の絶景ポイントとして多くの観光客を虜にしてきた。

 橋の上から見える白い雲が漂う空は、海との境目が曖昧になるほどの青さをたたえている。一転、夜になると水面に映った月が波に揺れて、一層ロマンチックな雰囲気を醸し出す。波の音だけが響く橋の上で、恋人たちが愛を囁きあうデートスポットとしても評判だ。だが、その橋の中央付近には今、花が手向けられている。

 伊良部大橋の中央に1台の車が止まった。男性にとって一世一代の大勝負、プロポーズ。その橋の上で車を降り、選び抜いた言葉を伝える。女性の返事は、「YES」。喜び勇んで、男性は欄干を乗り越えた。

 9月4日午前0時頃のことだった。宮古島に住む石垣有一さん(32才)が伊良部大橋から約30m下の海に転落した。

 翌朝7時、海上保安部のダイバーによって深さ約18mの海底に沈んでいるところを発見されたが、間もなく死亡が確認された。

 観光名所で起きた初の死亡事故とあって全国ニュースで報じられたが、注目を集めたのは、石垣さんが一緒にいた交際相手のAさんにプロポーズし、承諾された直後に転落したことだった。

「宮古島市内の飲食店で食事をした後、Aさんの運転でその場所まで行き、車を降りてプロポーズしたということです。承諾してもらった喜びに欄干を乗り越え橋の縁に立ったところ、足を滑らせて転落した。Aさんはすぐに警察に通報しましたが、翌朝まで石垣さんは発見できませんでした。当時、石垣さんはお酒に酔っていたそうです」(地元紙記者)

 喜びから一転、ふたりはあまりに悲しい結末を迎えてしまった。

◆Aさんの離婚と親族の反対

 伊良部島出身の石垣さんは幼い頃に両親が離婚し、父方の祖父母の元で育てられた。地元中学ではバレーボール部に所属。高校卒業後は趣味の釣りなどを楽しみながら、介護士として宮古島の施設で働いていた。

「働きぶりも真面目で、友達も多かった。今でもバレーボールのチームに入っていて、休みの日にはよく試合をしていましたよ」(石垣さんの知人)

 石垣さんとAさんが出会ったのは、その職場だった。宮古島出身のAさんは、石垣さんより一回り近く年上の40代前半。石垣さんからの猛アプローチで、3年ほど前に交際がスタートしたという。

「仕事終わりにAさんを送っていったり、とにかく石垣さんが献身的に尽くしていました。交際当初から石垣さんは結婚を意識していたみたいですけど、Aさんには戸惑いもあったみたいです」(前出・知人)

 その理由は、Aさんの過去にあった。

「Aさんは離婚を経験していて、小学校高学年の娘さんがいるシングルマザーでした。もう一度結婚することになかなか勇気が出なかったみたいなんです。年の差もあって、年齢的に石垣さんとの子供を望めないかもしれないというのも、二の足を踏んだ原因だったそうです。石垣さんの親族も当初は結婚に反対していたようでした」(別の知人)

 石垣さんはAさんとの仲をゆっくりと深めていった。同時にAさんの娘とも徐々に距離を縮め良好な関係を築いていたという。

「休みの日には3人で海に行ったりして、傍目には家族同然に見えました。娘さんは石垣さんのことをすごく気に入っていて、クッキーやお菓子を焼いてくれたこともあったそうです。石垣さんは、“うれしすぎてもったいなくて食べられないよ”って話してました。“パパ”の顔って感じでしたよ」(前出・別の知人)

 初めは反対していた親族にも石垣さんの熱い思いが通じ、許しがもらえた。そして、Aさんはプロポーズを承諾。胸に描いた幸せな結婚生活を目前にこの世を去った石垣さんの無念さと、Aさんのショックは察して余りある。

※女性セブン2017年9月28日号