なぜネクタイを着けるのか?その歴史を紐解いてみた!

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最近はクールビズが浸透し仕事中でも着けないケースが増えているが、やはりネクタイはビジネスマンの必需品といえるだろう。スーツやシャツと上手にコーディネートされていると、魅力的に感じる女性もいそうだ。この、普段何気なく着けているネクタイではあるが、いつから男性ファッションに取り入れられるようになったのだろう? 今回は服飾文化史が専門の文化学園大学北方晴子教授に、ネクタイのルーツ、ネクタイの変遷、現在のようなネクタイが確立されるまでの歴史を紐解いていただいた。

■発祥は近世フランス!ネクタイのルーツ

まずは、ネクタイのルーツについてだ。

「ネクタイとは、首や衿の周りに巻く帯状や紐状のアクセサリーを指します。ネック(首)にタイ(締める)の複合語で、フランス語では『クラヴァット』といいます。ルーツは、フランス国王ルイ14世(在1743〜1715)時代に誕生したクラヴァットにさかのぼります。クラヴァットが誕生する以前は、肩全体を覆うほどの大きなレースの衿が流行していました。ところが1660年頃から男性のかつらが流行し始め、その長い巻き毛が大きなレースの衿を隠してしまうことから、かつらで隠れない胸元の方に衿が寄ってきたといわれています。それが現在のネクタイにつながっています」(北方さん)

流石はおしゃれの国フランスだ。流行りの衿元をアピールすることが、ネクタイの発祥につながったようだ。

「フランス語のクラヴァットという言葉については、ルイ14世の雇われ兵であったクロアチア人の首に巻いたスカーフにちなんだものといわれています。クロアチアはフランス語でクロアットといい、これがクラヴァットに転化したといわれています。1660年代に入るとクラヴァットは一般化していき、以後、男性服の装飾に不可欠なものとなります」(北方さん)

元々は兵士用の装飾だったものが、ファッションアイテムとして定着していったのだ。

■ネクタイの変遷、現在のようなネクタイの登場は1890年代

続いて、ネクタイの形の変遷についてうかがった。

「時代とともに形や巻き方、結び方が変化していきますが、特にクラヴァットの重要性が増すのは19世紀初頭のことです。当時はまだスカーフ状だったのですが、その手入れと結び方は、ダンディといわれたしゃれ男たちの関心の的となりました。結び方は30種類ほどあったそうで、手引き書もありました。当時のダンディたちは、鏡の前でクラヴァットを結ぶのに2〜3時間要したという逸話もあります。自分好みにクラヴァットを結び終えてこそダンディが完成したともいわれています」(北方さん)

ダンディを気取るためとはいえ、着用に2〜3時間もかけるとは……。

■スーツはネクタイを結ぶことで完成する

「現代のような下げ結びのネクタイ(フォア・イン・ハンド)とほぼ同じ形が登場したのは1890年代のことで、4頭立て馬車の意味があります。御者が手綱を扱いやすくするために考え、広まったといわれています。また、アイルランド出身の詩人、劇作家、オスカー・ワイルドが考案したという説もあります。彼は19世紀後半を代表するダンディとして知られています。一方クラヴァットは、男性服の必需品となり、形を変えながらもずっと着けられてきました。その後も、ネクタイはファッションの影響を受けながら変化し、幅も広くなったり、細くなったりしています」(北方さん)

いわゆるネクタイの形になったのは、一世紀と少し前のことだったようだ。

「歴史的経緯を考慮すると、ネクタイはおしゃれな男性のアイテムであったことがわかります。現在の男性ファッションは、ライフスタイルの変化とともにカジュアル化が進んでいます。スーツを着る機会も減り、長い間男性の首元を飾っていたネクタイの需要が世界的に減っているのも事実。一方でデザイナーがコレクションでスーツを発表するなど、おしゃれ着のひとつとしてスーツも流行の中に置かれています。スーツは、男性ファッションの神髄。その男性のスーツはネクタイを結ぶことで完成するのです」(北方さん)

スーツは仕事着と割り切ってしまえばそれまでだが、ネクタイとの組み合わせでおしゃれを楽しめれば、生活によりハリも出てきそうである。皆さんはどう思うだろうか?

なお、「教えて!goo」では、「男性の皆さん、お気に入りのネクタイの色とデザインを教えて!」ということで、皆さんの意見を募集中だ。

●専門家プロフィール:北方 晴子
文化学園大学 服飾文化史 教授。文化学園大学は、東京都渋谷区代々木に本部を置く日本の私立大学で1964年に設置。ファッション分野が中心の大学。併設校に文化学園大学短期大学部がある。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)