現役弁護士の「自主制作ポルノで脅迫詐欺」、その手口

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ファイル共有サーヴィスを悪用し、詐欺目的でポルノ映画の著作権訴訟を演出していたのは、現役の弁護士だった。その被害総額は、実に7億円を超えるという。

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現役の弁護士が、ダミー会社を設立してポルノ映画を制作、ファイル共有ソフトを通じてそのコンテンツをダウンロードしたユーザーを著作権侵害の罪で訴えると脅迫し、巨額の金銭を巻き上げる──。そんな仰天の詐欺事件が発生した米国で、先日、首謀者の2人が起訴された。

去る2016年12月16日、詐欺、マネーロンダリング、偽証などの罪で起訴されたのは、ミネソタ州のポール・ハンスマイヤーとフロリダ州のジョン・スティール。2人は2011〜14年の4年間に、ポルノ映画の著作権所有会社という設定でダミー会社を次々と設立、BitTorrentなどのファイル共有ソフトを使って該当会社のポルノ映画をダウンロードしたユーザーを著作権の侵害で訴えると脅して、600万ドル(約7.02億円)をだまし取ったとされる。

脅迫を受けたユーザーがダウンロードしたポルノ映画はすべて、ハンスマイヤーとスティールが自らファイル共有サーヴィスにアップロードしたもので、関連する法律を熟知した弁護士自身が、当初から脅迫による金銭詐取を目的として企てた、綿密な犯罪スキームであったのが今回の事件の特徴だ。

2人は、あたかも真正な著作権侵害の訴えを起こすと見せかけることで、ポルノ映画のファイルをダウンロードしたユーザーのIPアドレスを入手、そこから詳細な個人情報を特定し、「4,000ドル(約47万円)の示談金を支払わなければ、著作権侵害に対する多額の賠償金と(ポルノ映画をダウンロードしたという恥ずべき)秘密を公けにさらす代償を払うことになる」と、手紙・電話などの手段を駆使して執拗に脅迫したとされる。

またハンスマイヤーとスティールの2人が、狡猾かつ注意深い首謀者であった事実は、著作権侵害の訴訟に直接的な利害関係があることを隠すため、プレンダ法律事務所(Prenda Law)などダミーの弁護士事務所を窓口として使いながら、脅迫・詐欺行為を続けていたことからもうかがえる。

さらには、脅迫の餌食となるユーザーがダウンロードする確率を高めるため、実在するポルノ女優に出演を打診していたというほどの凝りようで、司法省のレズリー・コールドウェルは「弁護士という立場と職能を悪用して、著作権侵害の訴えを起こし脅迫行為に及んだ今回の事件はいかなる理由においても見過ごされるべきものではない」と語気を強くしてハンスマイヤーとスティールの2人を糾弾している。

Source: Department of Justice, FastCompany

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