秋田の人口減が止まらない 死亡率など7項目全国最下位の衝撃
秋田県が人口減少や少子高齢化にあえいでいる。高齢化が進み、人口は自然減が進むうえ、若者の都会への流出も止まらない。
厚生労働省の2015年の人口動態統計(確定数)によると、出生率や死亡率、自殺率などの7項目で全国最下位と不名誉な記録をつくってしまった。
全国一の高齢化率による「負のスパイラル」
厚生労働省が2016年12月5日に発表した、2015年の人口動態統計(確定数)によると、秋田県は、出生率や婚姻率、死亡率、自然増減と、死因別死亡率の悪性新生物(がん)、脳血管疾患、自殺率で、全国最悪となった。
人口1000人に対する出生率は、前年比0.1ポイント減の「5.7」で、21年連続の最下位。婚姻率は0.2ポイント減の「3.5」で、16年連続の最下位だった。死亡率は0.1ポイント減の「14.5」、自然増減率は前年と同じ「マイナス8.8」で、それぞれ4年連続のワースト1位だった。
全国ベースでみると、出生率は8.0、婚姻率は5.1、死亡率は10.3、自然増減率はマイナス2.3。秋田県との差は歴然だ。
また、人口10万人に対する死因別死亡率のうち、がんは前年比1.0ポイント増の408.3で、19年連続で最下位。脳血管疾患は5.1ポイント減の154.0、自殺率は0.3ポイント減って25.7だった。脳血管疾患、自殺率はともに、2014年は岩手県(脳血管疾患162.3、自殺率26.6)に次いでワースト2位だったが、15年はそれぞれ順位を一つ下げて最下位になった。
2016年12月12日、J‐CASTニュースの取材に秋田県企画振興部は、「最大の原因は全国一の高齢化率にあります」という。高齢者が多いため、自然に減少。「減少幅が一番大きいところにあたります」と話す。加えて、若者が進学や就職で、首都圏をはじめとした県外への流出が進んでいることをあげる。「大学を卒業しても、(秋田県に)戻ってこない」と漏らす。
若者が減るから、結婚する人が減る(婚姻率が下がる)、結婚する人が減るから、子どもが生まれない(出生率の低下)、高齢者が増えて自然減が進むので全体的な人口減少に歯止めがかからないという、「負のスパイラル」に陥ってしまっているというわけだ。
こうした結果に、インターネットには、
「スゲェな7冠王かよ...」
「レジェンド秋田www」
「おいおいガンもかよ。なんか底知れぬ恐ろしさ感じるわw」
「ワイ秋田県民、来春より東京に亡命する」
「脳血管系の病気は寒い地方に多いよね。まあ昔からの風習で塩辛い保存食中心になるのはしゃーないけどね」
「婚姻、出生が少なくなるからの悪循環やろなぁ」
「あれ?自殺率奪還したんかw」
といった声が寄せられている。
自殺者が毎年継続して減っているのは秋田県だけ
とはいえ、秋田県は少子高齢化の進展に、手をこまねいているばかりではない。県企画振興部は、「県外に流出した若者に戻ってきてもらいたい」と話し、首都圏などの大学と協定を結び、情報交換を進めている。「高校卒業後、さまざまな大学に進むことから、若者との連絡がつきにくくなります。こちらからの情報も届きにくくなるので、そのあたりの連携を大学と密にすることからはじめています。まずは若者が戻ってこないと、次の親世代がいなくなりますから。(高齢者の自然減で)人口減はあるとしても、『負の連鎖』を断ち切る必要があります」と説明する。
一方、2014年に最下位を抜け出した自殺率だったが、わずか1年で逆戻り。ただ、自殺率については、さほど悲観はしていないようだ。健康福祉部は「自殺対策は、着実に実を結んできました。他県では増えたり減ったりしていますが、毎年継続して減らしているのは他にありません」と、自信を持つ。
健康福祉部によると、自殺者の多くは高齢者が占めており、病気などを苦にして命を絶つケースが少なくないそうだ。これに対し、秋田県では産官学が連携して自殺対策に取り組む「秋田モデル」を進めている。地域の実情にあわせてボランティアや相談窓口などを強化しているほか、医師会などとの連携を深めて自殺者を押しとどめるという。
ちなみに、秋田県の人口は2016年10月1日現在、前月比961人減の100万9691人で101万人を切り、統計がある1920年以降では31年以来の100万人台になったことが、県の人口流動調査でわかった。
秋田県は2017年夏にも100万人を割ると予測している。