「暮れの舞台の稽古で、今年はクリスマスどころじゃありません。ちょうどクリスマスは舞台の最後の稽古日で、稽古場は緊張感で張り詰めているはず」

“クリスマスを楽しむ時間がない”と苦笑するのは俳優の辻本祐樹(31)。“日本一泣かせる作家”宅間孝行率いるタクフェス特別公演『WHAT A WONDERFUL LIFE !』(12月27〜29日・東京グローブ座)の稽古に余念がない。

本作のテーマは「時間がない!」。4つのシチュエーションコメディのオムニバス作品だ。場面は「春の中山競馬場」「夏の花園神社」「秋のヤクザの組長の邸宅」「屋台のある冬の公園」。辻本はこのうち1本に刑事役で出演し、幕あいでも次の話につなぐ役割を担っている。

そもそも辻本が芝居に目覚めたきっかけは、小学5年のときに見たトレンディドラマ『ロングバケーション』。

「初めて泣いたんです。風景もきれいだったけど、俳優さんの演技に胸を打たれて、“何だ、この感情は!?”って」

生まれ育ったのは大阪府寝屋川市。関西の劇団を経て、テレビドラマ『3年B組金八先生』のオーディションに合格し、17歳で単身上京。一人暮らしを始めたそうだ。

「1人で外食するのが苦手で、ネットで調べながらギョーザを100個くらい作って冷凍したり、カレーを作り置きしたり。母のありがたみは身にしみていて、たまに帰省するとリクエストの水族館やUSJやカラオケに連れていってます。あまり会えないので、僕とデートしたいんでしょう」

そんな辻本も30代になり、芸能界ではだんだん下の世代も伸びてきている。

「先輩たちによくしていただいているので、僕も慕ってくれる後輩たちの力になれるようにしっかりしなきゃ」