ペトロヴィッチの限界を見たCS決勝。浦和はいつまで引っ張るのか
さいたまスタジアムは、最寄り駅である浦和美園駅から、徒歩で30分近く離れた場所にある。アクセスの悪さこそが、このスタジアム最大の問題。勝ったチームはともかく、負けたチームのサポーターにとってその帰路は、オケラ街道さながらの憂鬱な道のりになる。
チャンピオンシップ決勝第2戦。その終了後、家路を急ごうと駅を目指して早足に歩けば、敗者となった浦和サポーターのこぼす愚痴の数々が、否応なく耳に入り込んできた。
「このサッカーでもし勝っても、なんか嬉しくないんだよね、俺は」。印象に残ったのはこの台詞。サポーターの間で、サッカーそのものへの不満が燻っていることは、この30分弱の道のりを行くだけで、かなり鮮明になった。
浦和と鹿島。勝利が順当な結果に見えるのは浦和だ。その2015年の売り上げは約61億円。2位FC東京に約14億円差をつけ断トツの首位を行く。鹿島は43億円で17億円差の5位。2015年に限った話ではない。浦和の断トツリードは、もう何年も続く傾向だ。
試合後、チャンピオンシップのレギュレーションに対する不満を口にしたペトロヴィッチ監督。だが、他のどの監督より、恵まれた環境下に置かれている自覚がないはずがない。常勝軍団であるべきだとは言わないが、予算規模断トツチームに相応しい、王道を行く、世俗的ではない超然としたサッカーを示す任務が監督にはある。日本サッカーのためにも。そうした視点で決勝戦を眺めると、浦和のサッカーが、とてもみみっちく見えた。
カシマスタジアムで行われた第1戦。1−0でリードした浦和は、後半の途中から、攻撃の手を緩めた。追加点を狙いに行くことより、1−0を維持しようと、後ろに下がった。それまで、上手にサッカーを進めていたのは浦和。浦和は、自らの手でよい流れを止めた。
後半29分に行われた武藤と青木の交代、言い換えれば、アタッカーを落とし、守備的MFを投入する交代は、「より守備的に」というペトロヴィッチからのメッセージに聞こえた。瞬間、危ないと思わずにはいられなかった。
アウェイゴールルールで行われるこの決勝戦。年間チャンピオンチームが有利になるのは、そのルールに照らしても同点になる場合のみだ。ユーロや欧州チャンピオンズリーグの決勝トーナメント等々を眺めれば、PK戦に及ぶケースはせいぜい10%程度。第2戦の試合後、アドバンテージの程が少なすぎると、不満を漏らしたペトロヴィッチ。だが、それは最初から分かっていたはずだ。問題は、それを知っていたにもかかわらず、積極的にアウェイゴールを狙いに行かず、守りを固める“穴熊戦法”にすがった点にある。
もし浦和が2−0にすることができれば、鹿島は第2戦で3点以上が必要になる。浦和優勝の可能性はグッと増す。逆に1−1に追いつかれても、アウェイゴールルールと、2戦の合計がオールスクエアになっても浦和勝利という、2つのアドバンテージが残る。そこでの1得点は通常の1得点より、はるかに貴重であるのに対し、1失点は、通常の1失点よりショックの程が低い。
そうした好条件にもかかわらず、守りに入ったペトロヴィッチ。「攻撃的サッカーだ!」と、これまで胸を張るシーンに何度か遭遇しているが、実際には、その真反対に位置するサッカーであることが、白日の下に晒された瞬間だった。
第2戦。浦和は前半7分、早々に1点先制する。だが、2対1で勝たない限り優勝はないという鹿島のハンディに変わりはない。興梠が挙げた浦和の先制点に重みは一切、存在しなかった。その盲点を鹿島は突く。むしろその挑戦者精神を加速させた。
だが、前半40分、金崎にゴールを許すまで、浦和の選手の危機意識は低そうだった。勢いがなくなったその後のプレイと比較すれば、違いは明らかになった。
チャンピオンシップ決勝第2戦。その終了後、家路を急ごうと駅を目指して早足に歩けば、敗者となった浦和サポーターのこぼす愚痴の数々が、否応なく耳に入り込んできた。
浦和と鹿島。勝利が順当な結果に見えるのは浦和だ。その2015年の売り上げは約61億円。2位FC東京に約14億円差をつけ断トツの首位を行く。鹿島は43億円で17億円差の5位。2015年に限った話ではない。浦和の断トツリードは、もう何年も続く傾向だ。
試合後、チャンピオンシップのレギュレーションに対する不満を口にしたペトロヴィッチ監督。だが、他のどの監督より、恵まれた環境下に置かれている自覚がないはずがない。常勝軍団であるべきだとは言わないが、予算規模断トツチームに相応しい、王道を行く、世俗的ではない超然としたサッカーを示す任務が監督にはある。日本サッカーのためにも。そうした視点で決勝戦を眺めると、浦和のサッカーが、とてもみみっちく見えた。
カシマスタジアムで行われた第1戦。1−0でリードした浦和は、後半の途中から、攻撃の手を緩めた。追加点を狙いに行くことより、1−0を維持しようと、後ろに下がった。それまで、上手にサッカーを進めていたのは浦和。浦和は、自らの手でよい流れを止めた。
後半29分に行われた武藤と青木の交代、言い換えれば、アタッカーを落とし、守備的MFを投入する交代は、「より守備的に」というペトロヴィッチからのメッセージに聞こえた。瞬間、危ないと思わずにはいられなかった。
アウェイゴールルールで行われるこの決勝戦。年間チャンピオンチームが有利になるのは、そのルールに照らしても同点になる場合のみだ。ユーロや欧州チャンピオンズリーグの決勝トーナメント等々を眺めれば、PK戦に及ぶケースはせいぜい10%程度。第2戦の試合後、アドバンテージの程が少なすぎると、不満を漏らしたペトロヴィッチ。だが、それは最初から分かっていたはずだ。問題は、それを知っていたにもかかわらず、積極的にアウェイゴールを狙いに行かず、守りを固める“穴熊戦法”にすがった点にある。
もし浦和が2−0にすることができれば、鹿島は第2戦で3点以上が必要になる。浦和優勝の可能性はグッと増す。逆に1−1に追いつかれても、アウェイゴールルールと、2戦の合計がオールスクエアになっても浦和勝利という、2つのアドバンテージが残る。そこでの1得点は通常の1得点より、はるかに貴重であるのに対し、1失点は、通常の1失点よりショックの程が低い。
そうした好条件にもかかわらず、守りに入ったペトロヴィッチ。「攻撃的サッカーだ!」と、これまで胸を張るシーンに何度か遭遇しているが、実際には、その真反対に位置するサッカーであることが、白日の下に晒された瞬間だった。
第2戦。浦和は前半7分、早々に1点先制する。だが、2対1で勝たない限り優勝はないという鹿島のハンディに変わりはない。興梠が挙げた浦和の先制点に重みは一切、存在しなかった。その盲点を鹿島は突く。むしろその挑戦者精神を加速させた。
だが、前半40分、金崎にゴールを許すまで、浦和の選手の危機意識は低そうだった。勢いがなくなったその後のプレイと比較すれば、違いは明らかになった。