インタビューに応じるヤジディ教徒の女性(出典:http://www.mirror.co.uk)

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2014年8月イラク北部シンジャー地区でIS(イスラム国)の襲撃を受け、人生をめちゃくちゃにされた女性ヤジディ教徒たちについてはこれまでにも何度かお伝えしてきた。ISから脱出し過去のトラウマに苦しめられながらも前向きに生きようする彼女たち。その中で伝統的なドレスを脱ぎ捨て、武器を持ち、ISと戦うための戦闘訓練を受け、死と隣り合わせの過酷な環境に身を置く女性部隊が存在することを英『mirror.co.uk』が伝えている。

英『BBC』ドキュメンタリー番組の制作者ステーシー・ドゥーリーさんは、5000人が殺害されたとされるシンジャー地区のトレーニングキャンプに滞在し、ヤジディ教徒女性部隊を指揮するXateさんらから話を聞くことに成功した。XateさんはISと戦うための戦闘員となったきっかけについて、静かにこう語り始めた。

「ISによる残虐な行為を挙げたらきりがありませんが、ISに捕らえられたある女性の話は衝撃的なものでした。1歳のわが子と一緒に誘拐されたその女性は3日間、子供に食事を与えることを許してもらえませんでした。お腹が空いて泣きやまない子に苛立ったリーダーの男は、“うるさくて眠れないから子供をよこせ”と命じたのです。」

「女性は“我々は囚われの身。お腹が空いているし、喉もカラカラです”と訴えました。すると男は“俺がそいつに飯を食べさせてやる”と言って母親の胸から子を奪い、その子の頭をつかむと刀で斬首したのです。」

「男らは切断された身体を拾い上げるとキッチンに持って行って調理を始めました。しばらくして母親のところに戻り、ナイフを突きつけてこう言いました。“お前の赤ん坊の肉だ。食ってみろ。”」

この母親の話はXateさんを奮い立たせ、彼女はISと戦うクルド自治政府の軍事組織“ペシュメルガ(死に立ち向かう者)”による戦闘訓練を受けるようになる。そして今では女性ヤジディ教徒部隊を指揮するリーダーのひとりとなった。

同じく女性戦闘員のひとりであるNadiaさんは「私は前の平和な生活を取り戻したいのです。平凡だけどとても幸せでした。ある日突然、ISがやってきて家を壊し村人を殺しました」と語る。女性の多くはこの時家族とバラバラになり、性奴隷としてISに誘拐された。

別の女性Inasさんは、怒りを込めてこのように話している。

「私の姉妹はまだISに捕らわれたままです。ISは私たちの目の前で女性を次々にレイプし、父は家族の目の前で斧で斬首されました。私はISを許すことなどできません。彼らは私たちヤジディ教徒を苦しめたいだけなのです。なぜなら彼らの信仰する神が私たちヤジディ教とは違うからです。彼らの目的は私たちの住む地域を滅ぼすことです。」

「IS戦闘員を1人殺しただけでは亡くなった人々は報われません。私は数千のIS戦闘員を殺したい。これは復讐です。」

続いてISによって目隠しをされモースル郊外に連れていかれたという女性が、自らの悲惨な体験を告白した。

「戦闘員は暗い部屋に女性を閉じ込め、身体を洗うように命じました。そしてまるで妻に着せるかのようなナイトガウンをその部屋に持ってきたのです。でも誰ひとりとしてそのガウンに触ろうとはしませんでした。」

「そのうちある女の子が立ち上がり“身体をきれいにしてくる”と言って部屋を出ていきました。思い余った彼女はトイレで自分の両手首を切ったのです。トイレのドアから血が流れ出ているのが見えました。」

「しばらくすると戦闘員2人がやってきて、自殺した女の子の身体を毛布でくるむと外に投げ捨てました。私たちは後に彼女の遺体が犬によって貪り食われているのを目にしました。」

「レイプされるくらいなら仲間同士で殺しあってでも死にたかった。でも戦闘員らは私たちに手錠をかけベッドから離れられないようにしたのです。一番若い女の子はまだ9歳でした。それでも彼らは私たちの目の前で彼女をレイプしたのです。」

ステーシーさんは最後にこう語った。

「ヤジディ教徒の女性たちは自らの命を危険にさらしてまでも最後までISと戦う覚悟でいます。“ISに捕らわれている愛する人々を助け出したい。もう一度家族に会いたい”という強い気持ちが彼女たちを動かしているのです。」

出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 A.C.)