<トランプのグループ企業が、米経済制裁下のキューバで違法な商取引を行っていたことが発覚。全米で200万人を超えるキューバ系の保守票を失うおそれも>

 共和党候補のドナルド・トランプが、1990年代に当時の経済制裁に違反してキューバで商取引を行っていたことが、報道で明らかになった。アメリカにはキューバの独裁政権に抗議してきたキューバ系の共和党支持者が約200万人いる。事実なら、トランプはこの票を失うかもしれない。

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 ところがトランプ陣営の選対本部長ケリーアン・コンウェイは、今週出演したABCテレビの番組でこの事実をあっさり認めた。ニューズウィーク(写真)によると、トランプのグループ企業は1998年、前国家評議会議長フィデル・カストロ政権下のキューバで、カジノ進出についてのコンサルタント料として少なくとも6万8000ドルを支払っていた。アメリカが経済制裁を課していた当時、キューバでの米企業の商取引は違法だった。

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「(トランプの企業が)キューバでコンサルタント料を支出したことを否定するか?」と番組リポーターに問われたコンウェイは、「記事で読んだ通りなら、1998年に支出していたと思う」と答えたのだ。

 全米で200万人以上いるキューバ系の共和党支持者のうち140万人以上がフロリダ州在住だが、トランプはフロリダで民主党の大統領候補ヒラリー・クリントンと接戦を繰り広げている最中。過去の大統領選でも勝敗を左右してきた重要州で、禁輸違反の影響は大きい。政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の最近の世論調査の平均値では、クリントンとトランプの差は僅かに0.6ポイント。今週も両候補共、フロリダ州で選挙活動を行っていた。

国交回復を批判してきたのに

 トランプは長年、キューバには(ビジネスチャンスはあるけれども)ビジネスでは進出しないと発言してきた。「カストロ政権を支援」し、「自らのプライドに反する」からだ。さらに今年の大統領選では、キューバと国交回復をしたオバマ批判していた。

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 今週オバマは、約50年ぶりのキューバ大使を指名した。予備選でトランプと戦ったキューバ系のマルコ・ルビオ上院議員ら、オバマの対キューバ融和政策に反対する共和党政治家は、直ちにオバマを非難。議会で大使人事を阻止する構えを見せていた。

 だが今回のキューバ問題についてはトランプが説明するべきだと、ルビオはポッドキャストで語っている。「報道されたことが事実なら、法律違反にあたる」

 クリントン陣営もトランプを非難した。「トランプが国益より自分のビジネスを優先させること、そして躊躇なく嘘をつくことが、あらためて明らかになった」と、ヒラリー選対の上級政策顧問のジェイク・サリバンは声明で語っている。

From Foreign Policy Magazine

モリー・オトゥール