中国メディアの今日頭条はこのほど、英国の欧州連合(EU)離脱が国民投票で決まり、安全資産とされる円が買われて円高が進んだと指摘、これにより日本は中国人観光客を失ったも同然だと伝えている。(イメージ写真提供:123RF)

写真拡大

 中国メディアの今日頭条はこのほど、英国の欧州連合(EU)離脱が国民投票で決まり、安全資産とされる円が買われて円高が進んだと指摘、これにより日本は中国人観光客を失ったも同然だと伝えている。

 記事はまず、日本のインバウンド産業における中国人旅行客の存在の大きさを強調。2015年の日本において中国人旅行客は「800億元(約1兆2085億円)を使って瀕死状態の日本経済を活性化させた」と主張。さらに53年ぶりに黒字化した15年の旅行収支も、中国人旅行客による爆買いのおかげであるという見方を示した。

 しかし、英国のEU離脱問題を背景とした円高によって中国人旅行客の日本での爆買いに変化の兆しが表れ始めていると説明、爆買いの対象商品が装飾品などの高額商品から日用雑貨に変化していると指摘。中国人旅行客の爆買いという「消費エンジン」に陰りが見えていることに対し、「日本の小売業界関係者は不安な気持ちを募らせている」と主張した。

 つまるところ記事の主張は、瀕死状態の日本経済を中国人旅行客の爆買いが救っていたが、円高により日本は頼りにしていた中国人旅行客の爆買いを失ってしまったも同然という内容だ。経済大国である中国が瀕死状態である日本経済を助けていたという構図を強調したかったのだろう。

 記事は中国人旅行客の爆買いを「日本の消費エンジン」と形容しているが、もし円高により今後このエンジンが消失する状況になったとしても、日本としては引き続き様々な産業におけるイノベーションとそれを商用化する努力を続けてゆくのみだ。しかも、爆買いの勢いに陰りが出ていたのは英国のEU離脱問題が生じる前であり、これは円安の一服のほか、中国経済の成長鈍化も一因だろう。そもそも爆買いは一時的な現象であり、もともと頼りになるエンジンと見なしていた企業は少なかったはずだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)