ダイソンといえば、“吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機”で知られるサイクロン掃除機のほかに、近年では「羽根のない扇風機」でもおなじみだ。今回は、その羽根のない扇風機で培った技術によって生まれたといえる新ジャンルの製品「Dyson Supersonic ヘアードライヤー」が、本日(4月27日)発表された。同社初となる美容家電製品である。発売は5月11日となるが(全国の量販店で順次)、ダイソン旗艦店「Dyson表参道」にて、4月28日から購入できるという。価格は45,000円(税別)となっている。

世界同時発表の4月27日、都内で催された発表会のために創業者でチーフ・エンジニアのジェームズ・ダイソン氏が来日。新ジャンル進出の製品紹介のために登壇した

Dyson Supersonic ヘアードライヤー(以下、Dyson Supersonic)。“羽根のない扇風機”と同様に真ん中にポッカリと穴が開いている。サイズは、245(高さ)×78(幅)×97(奥行)mm。重量は618g。消費電力は1,200W

カラーは「アイアン/フューシャ」「ホワイト/シルバー」の全2色

カラーは「アイアン/フューシャ」「ホワイト/シルバー」の全2色

特許技術「エアマルチプライアー テクノロジー」を採用し、風量2.4立方メートル!

Dyson Supersonicには、同社が“羽根のない扇風機”に搭載する特許技術「エアマルチプライアー(Air Multiplier)」が採用されている。これは、同社最小最軽量のモーター「ダイソン デジタルモーター V9」(最大約11万回転/分)で取り込んだ空気を3倍に増幅して、高圧・高速の気流を生み出す技術。これにより、消費電力は大風量とされる他製品と同等(1,200W)ながら小型軽量、そして、2.4立方メートル/分という大風量を実現している。これが最大の特徴といえるだろう(一般的に大風量といわれるドライヤーでも1.6〜1.9立方メートル/分あたり)。

ちなみに、小型のダイソン デジタルモーター V9はハンドル部に内蔵されている。従来のドライヤーはモーターが大きいためヘッド部に搭載されるのが一般的で、そのため、いわゆる“頭でっかち”になりバランスが悪く疲労の原因にもなっていたが、重心のとれたDyson Supersonicでは、そのあたりも解消できているという。ダイソン氏いわく「Dyson Supersonicだと、妻と会話しながらドライヤーをかけることができる」とのこと。

ダイソン デジタルモーター V9のコンパクトさをアピールするジェームズ・ダイソン氏

ダイソン デジタルモーター V9のコンパクトさをアピールするジェームズ・ダイソン氏

左がDyson Supersonicに採用されているダイソン デジタルモーター V9で、重量は49g。右の従来モデルの重量は91g。大きさもずいぶん違う

ハンドル部に内蔵されたモーター

ハンドル部に内蔵されたモーター

吸気口はハンドル部下部とヘッド部背面にあり、そこから吸い込んだ空気がエアマルチプライアー技術によって3倍に増幅され、高圧・高速の気流を生む。さらに、ヘアスタイリングしやすいよう送風する風は約20度の傾斜がつくようになっており、狙ったか所に風をあてられるという

一般的なドライヤーはモーターがヘッド部にありバランスが悪く扱いにくいが、Dyson Supersonicはヘッドが軽く重量バランスがいいので長時間使っても疲れにくい

ドライヤーをかける際、体のどこに負担がかかるのかといった調査も行われている

ドライヤーをかける際、体のどこに負担がかかるのかといった調査も行われている

モーター先端部にあるインペラー。モーター音を抑えるため、羽の数を従来の11枚から13枚に変更。さらに本体内部の消音装備を強化したことで清音化を実現できたという

センサーで、78℃以上熱くさせない! 髪に優しい温度コントロール機能

髪をすばやく乾燥させるために大事なのは風量だが、加えて、ダメージを与えないようにするためには過度の熱はNGだという。髪を過度に熱を加えると髪表面が傷み、キューティクルがはがれ、そこからさらに水分が蒸発し乾燥してしまう。そこで、Dyson Supersonicでは、過熱風を防ぐたのに「インテリジェント・ヒートコントロール」機能を搭載。ヘッド部に設けられた温度センサーにより風温を毎秒20回測定し、ヒーターを調整。髪にダメージを与えにくい「78℃」までをキープ。それ以上の高温にはならないようになっているのだという。なお、温度は手動で「速乾(78℃)/標準(62℃)/低温(45℃)/冷風」の4段階、風量は「スピード/レギュラー/スタイリング」の3段階で調節可能だ。

送風口上部に温度センサーを装備。毎秒20回の温度測定が行われ、過熱を予防するという

送風口上部に温度センサーを装備。毎秒20回の温度測定が行われ、過熱を予防するという

競合製品とDyson Supersonicでの温風温度比較実験の結果。競合製品では100℃近い高温になっている部分が見受けられるが、Dyson Supersonicでは78℃あたりを越えていないのがわかる

過熱風で傷んだ髪の表面にはこのような穴が開いてしまうと解説

過熱風で傷んだ髪の表面にはこのような穴が開いてしまうと解説

別室のタッチ&トライコーナーでも、サーモグラフィーカメラを使った温度実験が行われていた。spot1はインテリジェント・ヒートコントロール機能により温度上昇が抑えられているようす(59.2℃)。spot2はその機能を外し温度測定しているようす(72.8℃)。いずれも「速乾」モードで稼動

壇上では、ヘアーメイクアップ・アーティストである加茂克也氏によるデモンストレーションが行われた。風量や温度について、「私たちが普段使用する3,600Wのプロ仕様のドライヤーよりも風量、風圧があるように思います。乾くのが本当に速い。風をあてただけで頭皮が見えるドライヤーはなかなかないですよ」とコメント

「マイナスイオン機能も搭載されているので、静電気も抑えられ髪がつややかにまとまります」と仕上がりを披露。つややかな髪に会場からはため息。モデルさんからは「熱くなりすぎないのがとてもいいです! あまりのに熱いと傷むんじゃないかと気になることがあります……」

左が、インターナショナル ヘアーメイクアップ・アーティストの加茂克也氏

左が、インターナショナル ヘアーメイクアップ・アーティストの加茂克也氏

「Dyson Supersonic」をタッチ&トライ!

実際に触ってみて驚いたのは、やはり風量だ。頭部に風をあてると髪がボワッと舞い上がるほどの勢い。ただ、それと同時に驚いたのが、音が静かなこと。会場が広いので正確には判断できないが自宅で使っている1200Wのドライヤーよりも断然静かだと思った。隣にいる人と会話しながらでも問題ないほどだった。

操作部分はヘッド部前面とハンドル部に集約。ヘッド部には温度調整(4段階)ボタンと風量調整(3段階)ボタンがあり、それぞれの設定はランプで表示される。ハンドル部の電源ボタンの下にあるのは「コールドショット」ボタンで、セットの仕上げに冷風をあてるためのもの

ハンマーのような形状は案外扱いやすく、重心がハンドル側にあるので親指と人差し指の間に引っ掛けて持つような感じで使うことができる。確かに、疲れなさそう

ノズル先のパーツは、3種類が付属。左から、風をやわらげられる「スムージングノズル」、風を集中させられる「スタイリングコンセントレーター」、パーマやカールヘアの風合いを守りつつ乾かせる「ディフューザー」

ノズルの脱着部はマグネット式になっているので、付け替えだけでなく向きを変えるのもラク

ノズルの脱着部はマグネット式になっているので、付け替えだけでなく向きを変えるのもラク

ハンドル部下部の吸気部のカバーは間単に外すことができる。フィルター掃除は、乾いた布で拭き取る程度でOK。掃除のタイミングは風量調整部のランプが点滅し知らせてくれるという(センサーで感知)

会場内ではたくさんのヘアスタイリストによるデモンストレーションが。使用感をうかがったところ「大風量なのでほんとに乾くのが早いですね。早く乾くので髪も傷まない。結果、スタイリングもしやすくなりますよ」との意見。「プロとしては、会話しながらスタイリングできるのがいいですね」との声も

「速乾(78℃)」設定の温風を、髪を乾かす際の距離感で手に10数秒あててもらった。普通のドライヤーでは「あちっ!!!」となるのに、Dyson Supersonicでは大丈夫(少々熱いが)

また、会場内にはかなり過酷と思われる製品性能・耐久性チェック用のセットも置かれ、披露されていた。ダイソン氏の説明時には、記者から「かわいそう(笑)」との声が漏れるほどだったが、このテストがあってこそのダイソンだのだろう。Dyson Supersonicの耐久性も、他製品同様かなり期待できそうではないか。

会場で実演されていたドライヤーの温風が髪に与える影響をチェックするための機械

会場で実演されていたドライヤーの温風が髪に与える影響をチェックするための機械

完成までに作られたモックも展示されていた

完成までに作られたモックも展示されていた


>> ダイソン初の美容家電! “あの技術”だから大風量「Dyson Supersonic ヘアードライヤー」お披露目 の元記事はこちら