まつい・ひさと 1994年、大阪生まれ。豊田自動織機シャトルズに所属する兄・謙斗さんの影響で小学校1年生でラグビーを始め、常翔学園高校へ。現在同志社大学3年生。「尊敬する選手は、今でも兄です」

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今年は4年に一度のオリンピックイヤー。リオ五輪出場予定で、今からチェックしておきたい男子アスリートをご紹介します。すらりとした長身に、精悍なマスクで、女性ファンたちの間では“次期ラグビー王子”との呼び声も高い松井千士選手です。

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すらりとした長身に、精悍なマスク。女性ファンたちの間では“次期ラグビー王子”との呼び声も高い松井千士選手。

甘いルックスばかりに目が行きがちだけれど、松井選手のすごさはなんといってもそのスピード感にあり! 

50mを5秒8で走る俊足の持ち主で、この数字は陸上の短距離走選手にも匹敵するというから驚き。ムチのように体をしならせて疾走し、オリンピック出場を決めたセブンズ香港大会では、合計9トライ挙げた。

「走るのが好き。スピードが求められるセブンズは、自分の長所を存分に生かせる場だと思います」

実は高校に入学した頃は小柄で、スピードも並みだったという松井選手。けれど厳しいトレーニングを重ねて2年生でレギュラー入りを果たし、3年生の全国高校大会では逆転のトライを決めて、チームを優勝に導いた。

「高校時代の経験が、何事も諦めない姿勢を培ってくれました」

今も走り込みを欠かさない松井選手が並行して取り組んでいるのは、当たられても倒れない体作り。身長190cmに体重100kgなどという体格もざらで、人相もどことなく恐ろしげ(失礼!)な外国人選手と張り合うには、スピードだけでなく、重量も大事なポイント。「食べても食べても太らない」という、女子からすれば羨ましい限りの体質を改善するべく食事の量を増やし、ウェイトトレーニングもまめに実行。その成果か、上半身には鎧のような筋肉がびっしりと!

さらに試合前にテンポのいい音楽を聴いて集中力を高め、負けない気持ちを作るルーティンも、大切にしていることのひとつ。

「試合中は集中しているので、どんなに相手が大きくても何とも思わないんです。そのぶん、試合後にロッカールームで出くわすと、『うわ、こんなデカい相手と戦ってたんだ』ってびっくりすることが時々あります(笑)」

現在、松井選手はチームの中でも最年少の21歳。

「世界のトップを知る先輩たちと共に戦えるのは貴重な経験。10歳くらい年上の人もいて、最初はどう接したらいいか迷いましたが、気さくな方が多くて。フラットに話ができてありがたいです」

一緒に出かけることが多いのは、同じ大学生である藤田慶和選手や合谷和弘選手。

「遠征中の空き時間に服を買いに行ったり。セブンズのメンバーは、わりとおしゃれ好きが多いんですよ。最近は何かと注目されることも多いので、そんなときに『ダサっ!』って思われないように、僕も含めて、みんないろいろ気を使っているんです(笑)」

まずはメンバー入りしてベスト4、そこからメダルへ。それが、松井選手が掲げるリオでの目標。「メダルを首にかけて日本に戻ってきたいです」

空港でその姿を、ぜひ!

◇まつい・ちひと 1994年、大阪生まれ。豊田自動織機シャトルズに所属する兄・謙斗さんの影響で小学校1年生でラグビーを始め、常翔学園高校へ。現在同志社大学3年生。「尊敬する選手は、今でも兄です」

※『anan』2016年3月16日号より。写真・山本あゆみ 取材、文・新田草子 《anan編集部》