アメリカで発覚したフォルクスワーゲン・グループのディーゼルエンジンにおける不正プログラム使用の問題は、世界中に拡大しているだけでなく他メーカーにも影響を及ぼしています。

とくにアメリカの大学による実験において、フォルクスワーゲン車と同時にテストされたBMWは、問題が指摘されていなかったにもかかわらず、批判の対象となっているようです。

そのBMWは、本社より『ディーゼル・エンジンに関する現在の議論についてBMWグループからの声明』を出して、同社への疑いについて明確にしています。

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その声明においてBMWは、次のように述べています。

BMW グループは、いかなる排出ガス試験においても、不正な操作を行うことはない。私たちは各国の法的要件を遵守し、それぞれのマーケットで必要とされる全ての試験基準を満たしている。

言い換えれば、我々の排気ガス処理システムは、排ガス試験を行うテストベンチ上であっても実際の道路上であっても、全く区別なく常に作動する。

不正行為を防止するための明確かつ厳格な規定およびプロセスが、BMW グループの開発工程の全ての段階において導入されている。

ICCTが行った二つの研究結果を通じ、BMW X5 および他の13 のBMW モデルが、NOx排出量に関する法的基準を満たすことが確認されている。BMW X5 のNOx 排出量について、研究施設での試験結果とフィールドでの試験結果の間に不一致は存在しない。

 ※ICCT:International Council on Clean Transportation

今回のフォルクスワーゲン・グループによるディーゼル問題は、測定時と実際の排出量の差異ではなく、測定を検知して制御を切り替えるという不正プログラムを使っていたことが対象となっています。

すなわち、BMWはそうした不正プログラムは使っていないと声明により宣言したというわけです。 

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2015年9月1日から、欧州では新しい排ガス規制であるEURO6が施行されていますが、排ガスをしっかりと浄化した上で、CO2の排出量削減に対してはディーゼルの有用性は高いというのは、またBMWがアピールしているポイントです。

北米では”ディーゼルゲート”とも呼ばれるようになった一件によって、ディーゼルエンジンに逆風が吹いていますが、同等出力で比較するとガソリンエンジンに対して15〜20%程度のCO2削減が見込めるのがディーゼルのメリットといいます。

こうしたディーゼルエンジンの優位性は正当に評価すべきということも、また欧州の共通認識といえそうです。

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(山本晋也)

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