編集レポ★激動の高度成長期を生きる男たちの姿にドキドキ!舞台『虹とマーブル』

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国立競技場、エンブレムなど問題がまだ多いものの、2020年の東京オリンピックに向けて、今日本は盛り上がっている。そこで比較されるのが、1964年の東京オリンピック。戦後から復興し、高度経済成長期に向かっていた頃だから、きっと今よりも日本が大きく変わろうという気配が強くあったに違いない。アメリカ的な生活に憧れ、三種の神器(白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫)が普及し、茶の間はリビングになろうとしていた時代。今回はそんな懐かしさのある昭和を時代背景にした舞台『虹とマーブル』を編集部がレポート。◆社会の底辺から成り上がっていく男の半生をスピーディーな展開で描く


同作は、劇団ペンギンプルペイルパイルズを主宰するほか、二宮和也主演のドラマ『弱くても勝てます〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望』の脚本でも知られる倉持裕が作・演出を担当。舞台は、高度経済成長期へと至る昭和時代。「金持ちになるんだ!」と欲望をむき出しにしてチンピラから成りあがっていく男、鯨井紋次(くじらいもんじ)を中心に、激動の時代を生きた人たちの、アップダウンの激しい人生をスピーディーな展開で綴っていく。

◆小出恵介、黒島結菜…ドラマでも人気な俳優陣が出演


主人公・鯨井紋次を演じるのは小出恵介。これが思った以上に昭和男のイメージにピッタリハマっていて、観ていて違和感ひとつ感じさせない風貌だ。口上を述べるように淀みなく長いセリフをすらすらと発するシーンが多く、それも含めて昭和の男といった感じがする。
そしてもう1人注目したいのがドラマ『ごめんね青春!』やカルピスウォーターのCMでいちやく注目の的となった女優・黒島結菜。これが初舞台ということだけど、その瑞々しさのある演技がこの舞台の魅力をさらに押し上げている感じがした。ほかにもともさかりえ、木村了などの出演者がしっかり脇を固めていて、抜かりない感じがする。舞台というよりまるでテレビドラマを観ているような心地よさを感じたけど、それはテンポのいい展開だけでなく、映像の世界でも活躍するメンバーが揃っていることもその要因なのかも知れない。

◆『虹とマーブル』のタイトルに隠された意味を噛み締めて


極貧の少年時代を過ごし、小悪党に成長した主人公は一念発起して商売に力を入れる。そこから映画産業、プロレス興行などさまざまな分野に手を出し快進撃を続けるも、時代が経つとともにほころび始め…1960年、70年、80年と、物語は進んでいく中で登場人物が成長、衰退していく様は随所に笑いがありつつもとてもドラマチック。主人公の行動力は観てみて目を見張るものがあり、最近こんなに冒険している男ってそういえば見てないかも…と思ったりする。この、気持ちいいほどの昭和男をぜひ劇場で目撃してみて。観終わった頃には、タイトルの意味についてじっくり考えられるはず。
(舞台写真:平野哲郎)