〈じっと考える材料〉4月。桜が満開の朝、玲子と夏穂は桜並木の通学路を歩いている。夏穂:桜ってほんとうにきれいだね。玲子:うん、そうね。ぱっと景色が明るくなっていいわね。でも、わたし、基本的にピンクが好きだけど、桜の色はちょっとか弱すぎる。もっと強めのピンク色がいいのよ。バラのピンクみたいな。夏穂:わたしはこういう繊細なところがいいと思うんだ。か弱いように見えて、まだ肌寒い春にしっかりと咲くところが