画像は『abcNEWS』より

写真拡大

 先日、米中部のユタ州にて、若い母親の運転する車が川に転落する事故が発生。車は反転して半分以上が水に浸かり、母親は即死した。しかし、同乗していた生後18ヶ月の赤ちゃんが事故から13時間後も車内で生存。救出されたことで、大きな話題となった。

「(第一発見者による通報を受けて)車を引き上げた時、赤ん坊は同乗者席側のバックシートにいたんです。車は反転して天井部が水に浸かっていました。そのおかげで、シートは水に浸からずに済んだんです」赤ん坊を発見した地元警察のマット・ジョンソン警部補はそう語っている。

 自動車はスパニッシュ・フォーク川にかかる橋桁の真下に落下していたため、道路や橋の上からは車は見えず、第一発見者の釣り人が見つけるまでには13時間を要した。救出作業時も水温は非常に低く、救助にあたった消防隊はその後全員が低体温症と診断されたという。そんななか、赤ちゃんはチャイルドシートに固定され、逆さまの状態で発見までの13時間を生き延びたのだ。

 さらに今週、この奇跡的な救出劇のさなか、車両発見時に不思議な現象が発生していたことが地元警察と消防隊員により明らかにされた。

「私たちが事故現場に急行したとき、そこにいた我々4人全員が大人の声で“助けて”と呼ぶのを聞いたんです。それを聞いて私たちはすぐに車を川から引き上げました。そして赤ん坊が生きているのを発見したんです」(同)

 しかしジョンソン警部補によれば、事故状況と車両の損傷から判断して、車両引き上げの直前まで母親が生存していたとは到底考えられないという。

「現場に向かったとき、橋の上には数人の野次馬が集まっていました。しかし、私たち3人の全員が、助けを呼ぶ声が車の中から聞こえたのを確認していたんです」

 現場に居合わせ、やはり声を聞いた警部のブライアン・デウィットもこう話している。

「救出劇から二晩も私は眠れなくなりました。そして自分の聞いた声がなんだったのか考え続けたんです。いま言えるのは、確かにその声がしたということだけです」

 保護された赤ちゃんはその後、病院に搬送され現在は無事に回復しつつある。幸い事故による外傷がなく、すれすれで水にも浸かっていなかったことが奇跡的な生存につながったとみられている。この事件は全米で報道されて大きな感動を呼び、現在では赤ちゃんを援助するための募金が行われ、全米から700万円を超える支援が集まっている。

(取材・文/)