十時社長に求められているのは、小手先の収益安定化ではなく、他社との提携を含めた抜本的な事業改革のはずだ  Photo:JIJI

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「安定した収益の確保」──。9月17日に約1800億円に上る営業権の減損を発表して以降、ソニーの経営陣がスマートフォン事業の立て直しに向け、繰り返し唱えている言葉だ。

 従来のように販売数量やシェア拡大をいたずらに追わず、固定費を抑えながら、営業利益をしっかりと確保できる体制を再構築することを指しているが、その詳細な道筋と数値目標を、ソニーはいまだに示せずにいる。

 11月25日。ソニー本社で開いた投資家向け説明会で、各事業部門のトップが今後の経営方針を説明し、2017年度の利益目標などを提示する中、モバイル分野だけは、「14年度中に開示する予定」として、またもや見送られたのだ。

「激動のスマホ業界で3年先のことを読めたら神様でしょ」

 ソニーの社内からはそうした声も聞こえる。ただ、スマホの販売不振で事業部門のトップが11月に更迭されたことを考えれば、長期ビジョンを示しながら、抜本改革に踏み込めるのは今しかない。

 それでも、モバイル分野のトップに新たに就任した十時裕樹社長の口から出てきた言葉は、従来アナウンスしていた販売戦略の見直しや、営業拠点の再編、商品モデル数の削減など、抜本改革には程遠いものだった。

 さらに、説明会に参加した投資家たちの不安をあおったのが、「事業の変化に耐えて、次の事業を育てる」(十時社長)という言葉だ。

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