未来型F1フル電動の自動車レース『フォーミュラE』が9月13日、北京のオリンピック公園市街地コースで初開催された。

 まず、ドライバーのメンツがすごい。F1全盛期を築いたワールドチャンピオン、アラン・プロストの息子ニコラ・プロスト。中嶋悟のパートナーでもあったネルソン・ピケの息子ネルソン・ピケJr.、そして音速の貴公子アイルトン・セナの甥ブルーノ・セナ。日本からもセナ・プロストの僚友だった鈴木亜久里がチームオーナーとして参戦し、ドライバーは中嶋の弟子にあたる佐藤琢磨。往年のF1ファンにはなじみのある名前が連なっているのだ。

 レースはスタート直後の2コーナーでいきなり佐藤とセナが接触事故。5周目からプロストがトップに躍り出て最終周へ。父プロストが見守る中、開幕戦ウィナーかと思ったら、何と最終コーナーで悲劇が襲う。プロストと2位ニック・ハイドフェルドが接触し、両者ともマシンを大破させストップ。3番手のルーカス・ディ・グラッシが優勝を決めた。いまや伝説となった1989年のF1日本グランプリ、セナ・プロストの接触バトルを彷彿とさせる結末だった。

 最高時速は225キロながらマシンの音が静かで排ガスも出ない。全車が同じモーターとタイヤを使用。1台の車ではバッテリーが持たないため、ピットインして別の車に乗り換えるのが特徴。大会ごとにネット投票を行い、上位3選手には一時的にモーターの出力を上げられる特典もあり、意外性を創り出している。

 開幕戦の佐藤はアクシデントが続き、完走を逃したが、ファステストラップを記録した。今季は来年6月27日のロンドン大会まで全10戦が地上波で放送される。モータースポーツファンは目が離せない。