『日本全国ご当地スーパー隠れた絶品、見〜つけた!』菅原佳己(著)/講談社

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夏の暑さが残る9月だが、そろそろ秋のレジャー計画を立てる人も多いのではないだろうか。観光やアウトドア体験はもちろんのこと、その土地ならではの食べ物も、外せない旅の楽しみのひとつだ。ガイドブックを眺めては「お昼はこのお店に行こう」「旅館の夕食は何が出るだろう」と考えているだけでも幸せである。

土産物屋や道の駅・パーキングエリアなどは、普段目にしないお菓子や食材がたくさん並んでいて立ち寄るととても楽しい場所だ。だが、そこで満足して買い物を終わらせず、「他にもその土地の食を楽しめる穴場スポットがありますよ!」と教えてくれたのが『日本全国ご当地スーパー隠れた絶品、見〜つけた!』という書籍である。そう、穴場スポットとは、スーパーマーケットのことだ。

この書籍は『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』の続編となり、2冊合わせて47都道府県すべてのスーパーと、そこで見つけた各地の食品・食材が紹介されている。

たとえば、茨城県・水戸のスーパーにある、すし飯の代わりにそばが油揚げの中に入っている「そばいなり」や、さつまいもを丸ごと干した「ほしいも 丸干し」、愛媛県・松山の「ゆずそうめん」などはぜひとも一度食べてみたい。観光地では味わえない、より生活に密着した食材を試したいなら確かにスーパーのほうが良いかもしれない。

そこで、どうしてご当地スーパーに着目し、本書を出版しようと思ったのか、担当編集者である講談社の原田さんに聞いてみた。
「ある日、編集部にドカンと届いた段ボール。中身は、山ほどの愉快な食材と分厚い企画書でした。著者・菅原佳己さんの、まさしく迫力満点のプレゼンテーション。ユニークな切り口で即、採用でした」

出来上がった1冊目は発売直後から反響が大きく、また「なぜ私の出身県が載っていないのか」というたくさんの意見が多かったこともあり、この度2冊目の出版に至ったという。確かに、自分の故郷やなじみのある土地の食材を紹介してもらえるとうれしくなってしまう。

個人的な感想だが、地元・鳥取の「亀井堂のパン」や「白バラ牛乳」が紹介されていて、やはりちょっとうれしくなった。振り返ってみると、帰省した際にスーパーへ買い物に行くと「そういえば東京では見かけたことないなー」と思うものがいくつもあり、懐かしくなってついつい買ってしまった経験がある。そのくらい、スーパーには地域差があり、その土地の色が出るのだ。

また、本書は掲載商品数が多いので、最低でも一品はなじみのある商品が見つかると思うのだが、原田さんによると一番苦労したのは東京の食材選びだったという。
「著者も私も東京出身なので、東京ならではのご当地食材というのが難しくて、結構、苦労しました。ここ半年、菅原さんは東京に上京するたび、下町や東京観光スポットのスーパーを、かなり回っていたんですよ」
菅原さんが苦労して選んだ東京の食材は「深大寺そば」「ちくわぶ」などだ。この他にもたくさん紹介されているのでぜひ注目して見ていただきたい。

ちなみに、原田さんが今注目しているスーパー・食材も教えてもらった。
「宮城県・仙台の温泉街にある、『主婦の店 さいち』。人口4700人なのに、おはぎを1日25000個売ってしまうという伝説の神スーパーなんです。開店3時間前からお客さんが並ぶ、絶品総菜やおはぎ、食べてみたいです。あ、石垣島のスーパー、知念商会の『オニササ』も1日1500食も売れてるそうで。いつか、ぜひ食してみたいです」
1日25000個売ってしまうとはすごい! 掲載写真で見る限り普通のスーパーなのだが……ぜひ一度訪れてみたい。

では、実際にご当地スーパーに行ったとき、どう探せば隠れた逸品が見つけられるのだろう。
「この本を編集するまで気づきませんでしたが、“探そう”と目をこらせば、今まで見落としていた逸品が、案外とびこんでくるものです。ウチの夫の実家が山形なのですが、帰省した際、義父母、夫と、地元スーパーでご当地面白ネタを探索してみたら、各々いろんな視点でレジに持ってきて非常に楽しかったし、盛り上がりました」
ぜひご当地スーパーに行った際は思い出してほしい。目をこらしてみる、それだけで隠れた絶品が見つかるかもしれないことを。

「もし面白いものを見つけましたら、ぜひ菅原さんにお寄せください。第3弾作成の際には、お名前と共に掲載しますよ!」と原田さん。第3弾ではどんな場所のどんな食材を紹介してくれるのか、今からとても楽しみだ。
(上村逸美/boox)