「猫ラボ」作品の絶妙な“猫あるある”に悶絶必至!?

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猫を飼っていると、毎日の生活のなかで特徴的な仕草や動きに出会うことが多い。怖いもの、苦手なものに出くわしたときに耳がペタンと寝てしまったり、布張りのものを見つけると怒られても爪を研がずにはいられなかったり……。そんな“猫あるある”を切り取った作風が猫好きたちを魅きつけてやまないのが、今回紹介する「猫ラボ」さんによる羊毛フェルトの猫たちだ。

彼女の作品の中にはシンガーの坂本美雨さんの飼い猫“サバ美”や、以前にコネタでも紹介した“ヨウカンさん”など、ペット雑誌などにも登場しているスター猫をモデルにしたものも多いため、作品を見かけたことがある人も多いかもしれない。そんな猫ラボさんに制作活動について、そして9月9日からスタートする最新作の展示についても聞いてみた。

プライベートでは20年以上の猫飼い歴を誇る猫ラボさんが、羊毛フェルトで猫をテーマにした作品を作り始めたのは2012年のこと。美大やデザイン専門学校などを経由してアーティスト活動を始める作家は多いが、彼女はそれまでアートの世界とはあまり接点を持たずに過ごしてきたというから驚く。猫の仕草やポーズの切り取り方の絶妙さについては、
「それはひとえに猫愛のなせる技と言いますか(笑)。動物のクラフト作品を作られる方は、みなさん器用にいろんな動物を作っていらっしゃるんですが、私はほかの動物は多分作れないんですよ。まだまだ技術的に挑戦できないこともあるんですが、猫と一緒に生活していて“ああ、かわいいなあ”と思う瞬間が自分の中でたくさんあるので、それを一つ一つ形にしていっています」
と語る。

先に挙げたリアルに猫らしい仕草やポーズのほかに、猫ラボ作品の特徴はその目にある。明るい時間帯にタテ目になったり、猫じゃらしなど“獲物”を狙うときに瞳が大きくなるなど、シチュエーションによってさまざまな表情を見せる猫の目。猫ラボさんの作る猫たちは実に表情が豊かなのだが、それは作品ごとに一つ一つ色や瞳の大きさなどにこだわり抜いたこの猫目の完成度の高さも関係しているのではないかと思う。また作品にもよるが“どの角度から見ても目が合う”ことも、見る人を魅きつけるポイントになっている。

「どこから見ても目が合うのは、自分で何も考えずに作ってみたらたまたまそうなってしまったんです。“追視”といって人間の形のドールではポピュラーな手法なのですが、自分では作り方を習ったりしたことがないので、いまだに原理ですとかはよく把握できていなくて。作品によって360度どこから見ても視線が追ってくるもの、左右どちらか片方しか追ってこないものですとか、いろいろなタイプがあります」

ちなみに、先に挙げたスター猫たちをモデルにした作品は、どれも“本猫”には一度も会わずに制作されている。もちろんその場合には毛色などはネットにアップされた写真で確認するのだが、「私がモデルにしているのは、写真を拝見していて『あ、この子のこういうところが好きなんだな』という飼い主さんの視線がはっきり分かって、それに共感できるものですね」とのこと。

この“共感”というのは猫ラボさんの作品自体のキーワードにもなっているようで、自らの作品についても、「“これ、かわいいよね?”という気持ちを、作品を通して見てくれる方にも投げかけている感じ」なのだそうだ。

そんな猫ラボさんの最新作が見られるのは彼女自身もファンだという木彫り猫作家・バンナイリョウジさんとの赤坂・Jalonaでの二人展。メインビジュアルに登場しているのは、以前にコネタでも紹介した妖怪絵師・石黒亜矢子さんの飼い猫・てんまるくんをモデルにした作品だ。

「作品は大きいサイズのものが20点、顔だけなどの小さいサイズのものが4〜5点程度。今回は動きのある作品よりも、お座りポーズや香箱座り(前脚を胸の下にしまい込むような座り方)のものが多くなっていますね。全体のテーマはカッチリとは決めていないのですが、バンナイさんの作品も含めて猫がいっぱいいるからタイトルは“ねこの集会”(笑)。カフェを併設したギャラリーでの展示になりますので、猫カフェ風に猫が高いところからお客さんを見下ろすような作品があったり、カフェスペース周辺にも何点か作品を展示する予定です」

制作期間は手の込んだものになると1匹あたり最低でも7〜10日はかかるそうで、どれもかわいい我が子なのだそうだが、注目ポイントとしては、
「最近は白黒猫がマイブームで、てんまるくんのほかにも牛模様の牛さん(『ほぼ日刊イトイ新聞』内『ぼーっとしたミーハー通信』に登場)ですとか、白い毛と黒い毛の割合の違う子たちをモデルにした作品を並べて展示する予定です。白黒猫の模様の妙だったり、愛らしさを楽しんでいただけるのではないかと」

そのほかにも猫フェチの琴線に触れる作品たちが登場。もちろんブログなどでも写真は見られるが、ぜひ実物と“見つめ合って”その身もだえするほどのキュートさを確かめてほしい。
(古知屋ジュン)

【バンナイリョウジ × 猫ラボ 二人展 「ねこの集会2 木彫りねことフェルトねこ」】
会場:赤坂・Jalona
日時:9月9日〜20日12:00〜19:00(日曜・月曜は定休。最終日17:00まで)
料金:無料
※初日の9月9日11:50より、猫ラボ作品の販売整理券を配布。詳細はウェブサイトまで。