清涼飲料やコーヒーの自販機が設置されていることが多く、生徒も自由に利用できます。

写真拡大

ドイツの公立学校の夏期休暇は、およそ6週間。開始時期は州ごとに少しずつスライドしており、首都ベルリンなど北部の学校は6月下旬から7月初旬ごろのスタート。最も遅い南部では、北部にひと月ほど遅れて開始というのが、典型的なパターンです。南部の都市で、重いリュックを背負って登下校する地元生徒のそばを、すでにバカンスに突入している北部在住の子連れファミリーが、アイス片手にビーチサンダルでそぞろ歩きする姿(または、その逆のパターン)も、夏には見慣れた光景です。

そんな夏休み気分を左右しかねないのが、成績表。秋が新学年スタートのドイツでは、学年末の成績表は、夏休み前に手渡されます。以前のコネタで触れた通り、ドイツの成績評価は1が最高点で、数字が大きくなるほど成績は下降します。例えば一教科でも「5」がある場合、それを相殺してくれるような「1」や「2」があれば留年は逃れることができるようですが、全教科の平均値が5以下という場合、進級はまず不可能。

そんな背景も踏まえ、ドイツの公立学校やギムナジウム(中高一貫校)の教室で交わされている(らしき)会話を、アトランダムにピックアップしてみました。成績不振で留年することになった生徒が、他校に転校してしまった翌朝の、クラス担任と生徒の会話です。発言の意図や真偽のほどを、当事者に確認したわけではありませんので、悪しからず。

生徒A「◯◯君、もう来ないの?」
生徒B「今日から◯◯市の学校に転校だよ」
生徒C「両親が離婚して、勉強どころじゃなかったんだよ」
担任「それ以前から、成績は悪かったですよ」
生徒「……」
担任「私は正直な人間なので、本当のことを言ったまでです」

続いてご紹介するのは、上記の「私は正直人間」発言の教員が担当する授業での一コマ。こちらも、あくまで「子供たちが言ったこと」という前提でお読みください。

教員「みなさん、先週の宿題を提出しなさい」
生徒A「今朝登校途中に、ひったくりに宿題を盗まれたので、提出できません」
生徒B「お母さんが、間違って古紙回収業者に出してしまいました」
生徒C「せっかく全部終えたのに、うちの犬が食べてしまったんです。フンになって出ててきたら提出します」

さて、授業中に生徒の具合が悪くなった場合、 症状が重ければ、親族らに迎えにきてもらいますが、軽度であれば、「校舎の周りを散歩して、新鮮な空気を吸っていらっしゃい。良くなるかもしれませんよ」などとアドバイスし、仲良し生徒を散歩に同行させることがよくあるようです。さて、ある日の授業中、生徒の体調が悪くなったようです。

生徒「先生、ぼく、頭が痛いんですが……」
教員「自販機でコーヒーでも買って飲んでおいで。頭痛にはコーヒーがよく効くよ」

さすがに小学校では見かけませんが、ギムナジウム(中高一貫校)の校内には、清涼飲料やコーヒーの自販機が設置されていることが多く、生徒も自由に利用できます。つまり、家庭では飲ませないようにしているコーラやコーヒーを、わが子が学校で自由に飲んでいたなんてことも多々あるわけで……。ちなみに、上記の生徒は、あっつあつのコーヒーカップ片手に教室に戻ってきたそうです。
(柴山香)