中国・上海海事法院は20日、第2次世界大戦中に被った経済的損失に対する賠償として、商船三井が中国で保有する28万トンの船舶「バオスティール・エモーション」を差し押さえたと通知した。中国新聞社が報じた。

 報道によれば、“中国の船舶王”とも呼ばれた陳順は1930年代に日本の海運会社に2隻を貸し出したものの、1937年8月以降は賃貸料が未納のままで、契約満期後も船舶は返還されることなく使用され続けたという。陳順の子孫らは日本と中国で損害賠償を求める訴訟を起こし、上海海事法院は2007年12月に船舶三井に対して約1億9000万元(約29億円)を支払うよう命じていた。

 上海海事法院が商船三井の船舶「バオスティール・エモーション」を差し押さえたことについて、中国の簡易投稿サイト・微博での反応を見てみると、中国のネットユーザーからは、「ついに中国人のために発言する人が表れたか!」、「これはまったく合理的で合法的だ」など、喜びの声が続出した。

 また、「利息も付けて計算しろ!」、「もっと船を差し押さえろ!」「14億人の中国人が集団で日本に対して損害賠償を起こそう」など、さらなる要求をするユーザーもおり、今回の差し押さえによって中国の民間人による対日賠償訴訟にさらに拍車がかかるであろうことを予感させる意見が相次いだ。

 船舶差し押さえを歓迎する声が大半であり、日ごろ中国政府が「日本に強く抗議する」などのコメントばかりであることと比較して、差し押さえという実際の行動に出たことを評価するコメントが多かった。(編集担当:畠山栄)