「音楽定額聞き放題」の王者、ついに日本上陸へ 世界中で人気の「Spotify」とは何者か
世界中に多数の会員を抱える人気の音楽聞き放題サービス「Spotify(スポッティファイ)」が日本でもいよいよスタートすると見られている。
定額音楽配信サービスに出遅れている日本にとって、「黒船」になる可能性も噂される。どんなサービスなのか。
無料会員は世界に約2400万人
スポッティファイは2006年にスウェーデンで創業したベンチャー企業で、2008年から同名の定額音楽配信サービスを始めた。ヨーロッパのユーザーを大量に獲得して2011年にはアメリカに進出し、現在では55か国に広がった。無料会員は約2400万人、有料会員は600万人に上るとされる。日本法人もすでに設立済みで、2014年6月にもサービスを開始すると東洋経済オンラインは報じた。
iTunesのように楽曲ごとの購入ではなく、会員登録すると2000万曲以上が聞き放題になるのが特徴だ。パソコンやタブレット、スマートフォンなどさまざまな機器でストリーミング再生が可能で、月額9.99ドル(約1000円)の有料プランで契約するとオフラインでも利用できる。
アメリカのiTunesで音楽を購入すると1曲あたり1.29ドルかかるため、7〜8曲分の料金で1か月は音楽が聞き放題になる計算だ。
4大レーベルといわれるUniversal Music Group、Warner Music Group、Sony BMG、EMI Musicと提携し、音楽の種類も充実している。無料プランには数曲ごとに広告が挟み込まれ、オフライン利用もできないが、無制限に音楽にアクセスはできる。
海賊版音楽の撲滅を掲げて、不正な音楽共有よりも良いサービスを提供することで不正ダウンロードを減らし、合法なサービスの利用へ移行させる試みも行っている。どのように音楽業界に貢献しているのかを説明するページ「Spotify Explained」では、違法ダウンロードの代替となる合法サービスを選ぶユーザー数の調査データを示し、実際にスウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アメリカ、イギリス、オランダで違法ダウンロードが減少傾向にあるとしている。
定額サービスに遅れる日本市場
定額配信サービスは世界で拡大しつつあり、国際レコード産業連盟が2014年3月18日に発表した13年の音楽市場レポートによれば、世界の売り上げは11億1100万ドルと51.3%増となった。一方、日本ではCDの販売が売り上げの多くを占め、定額配信サービスの売り上げは伸びつつあるものの、他の国に大きく遅れをとっている。
日本市場で展開している定額配信サービスは、ソニーの「Music Unlimited」、レコチョクの「レコチョク Best」などがあるが、有料のサービスのみで音楽市場での存在感はあまりない。「Spotify」が日本に上陸するにあたって、レコード会社と交渉して海外と同様に無料版を提供できるかどうかが焦点になりけそうだ。
ネットではスポッティファイ日本上陸の報道に、
「おおお!やった!やっと来るのね」
「朗報だと思いたい。これでやっと日本の音楽の構造が変わるのか」
と期待を寄せるツイートが出た一方で、
「レコード会社が運営するとアーティストの縛りがありそう」
と心配する声もある。