王室は「保守」の総本山、さすがにまだそこまでは開かないらしい

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3月29日から英国では同性婚がスタートする。それに伴い英国内では「もし国王が男性と結婚した場合、配偶者になる男性には『王妃』の称号が与えられるのか?」ということが話題になっている。果たして将来、英国は「男の王妃」や「男の皇太子妃」を(王位継承者が女性の場合はその逆)を戴くことはあるのだろうか。

現在、王室についての法律は、異性間による結婚を前提として書かれているため、もし国王が男性と結婚した場合、その男性配偶者は「王妃(クイーン)」の称号になるそうだ。また皇太子(プリンス・オブ・ウェールズ)が男性と結婚すると、その男性配偶者は皇太子妃(プリンセス・オブ・ウェールズ)になる。つまり故ダイアナ元妃があった地位に、男性も就けることになる。

今までのように同性カップルの結婚が認められておらず、シビルパートナーシップ(結婚ではないが、年金・相続など法的に結婚とほぼ同等の権利を得られる制度)にとどまっていた時点では、このような状況は起きなかったが、今回、同性婚が認められたことにより、「男の王妃様」の可能性が出てきた。果たして英国は、今後その可能性を残していくのか。

英テレグラフ紙によれば、答えは「ノー」だという。同性婚のスタートに合わせて関連法の修正作業が行われ、このような事態は起きなくなるそうだ。女王や皇太子の称号にとどまらず、公爵や伯爵など他の貴族の配偶者の称号についても、男性が「公爵夫人(ダッチェス)」「伯爵夫人(カウンテス)」といった女性の称号になったり、カップルが両者とも公爵夫人にならないように、法律が直されるという。

一方で権利の平等を主張する団体は、結婚する人が誰であっても、その配偶者には同じ称号が適用されるべきだと反対する。

同性婚の開始に伴う関連法の改正は、王室や貴族関係だけではない。「夫」「妻」「父」「母」「未亡人」などの特定の性を指す言葉も、将来の混乱を避けるため修正され、古いものでは1285年に作られた法律の書き直しがされる。

英王室の王位継承については、男子を優先していたこれまでの規定が昨年改められ、男女を問わず長子が継承順位で先となる変更がされた。王位継承法では男女の差は無くなったものの、男の王妃様が誕生するのは、もう少し先になりそうだ。
(欧州プレス)