日差しはおだやかですが、ものすごい強風が吹き荒れています。

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3月18日、関東で春一番が吹いたと報じられた。

でも、ちょっと待てよ? 「春一番が吹いた」というニュースって、もっと前に報道されていなかったっけ? 別の地域の話だったのだろうか。それとも、もしかして春に同じような強風が吹くと、何回吹いても「春一番」なのか。あるいは、「春ニ番」「春三番」もあるのか。気象庁・天気相談所に聞いた。

「『春一番』が何回も吹くことは、ありません。一回だけです。今年の場合は、いちばん早かったのは北陸の3月12日、次が九州の3月13日で、地方によって判定する日が異なりますので、他の地域のニュースを聞いたのかもしれません。あるいは、テレビで気象キャスターが『今日、春一番が吹きます』『明日、吹きそうです』などと言っていたように思いますので、それで『吹いた』と認識されたのかもしれません」

そもそも「春一番」の定義はどんなもの? 地域で判定するということは、地域によって定義も異なるのだろうか。
「大きな部分では共通しておりますが、地域特性の設定値で異なる部分もあります。たとえば、『南寄りの風』『風速8m/s以上』『気温が上昇する』などは共通していますが、『日本海に低気圧が発達すると起きる』というのは、おおかたの地域で共通しているものの、九州南部など当てはまらないところもあります」
また、春一番は通常、北に低気圧が通過した後、いったん寒気を引きこみ、気温が下がるという特徴もあるそうだ。

では、春一番の後に、春二番、春三番などが吹くこともあるのだろうか。
「同じような南寄りの強風が吹いても、『春二番』『春三番』などとカウントすることはありません。というのも、春一番は『立春から春分の間に最初に吹く強風』として期間が決まっているため、1つ吹いたら、それで決着するのです」
となると、春一番が吹かない年もあるってこと?
「そうですね。期間内に春一番が吹かなかったということは、それほど稀ではなく、あると思います」

ところで、夏から秋にかけて台風が増える傾向はあるが、「春一番」のように、季節ごとに「○○一番」があったりしないのだろうか。
「春一番の他には、季節の便りとして、『木枯らし1号』(10月半ばから11月末までの間)がありますが、季節ごとに『○○一番』があるわけではないですね。そもそも『春一番』は気象庁が定めているわけではなく、漁師さんが春に漁に行く際、強い風が吹く警告として始まったものだからです」

ちなみに、関東では気象庁の天気相談所が、四国の場合は高松の地方中枢官署が……といった具合に、地方ごとに「認定」され、発表されている春一番。
心情的には「春一番はもう吹いたから、今後は穏やかな日だろう」と期待したくなるが、今後も同様の強風の日が何度もやってくる可能性はあるわけです。ご注意を。
(田幸和歌子)