プリウスPHV

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電気自動車(EV)ってエコで、静かで、乗り心地良さそうだが、一回の充電の走行距離が短いので、遠出にはどうしてもハイブリッドカー(HV)でないと・・・と思ってしまう。だが、日常、通勤や買い物などの近距離での利用を電気だけでもカバーでき、遠距離走行がOKなのが「プリウスPHV」(プラグインハイブリットカー)の特長のひとつだ。

21世紀の乗り物として環境にやさしい電気自動車が期待されてきたのだが、現状ではまだ多くは普及していない。そのワケはいろいろあると思うが、やはり一回のフル充電の走行距離が短いのが、ユーザーにとって不満なのではないかと思う。

それがプリウスPHVでは一回のフル充電で26.4キロ走ることができるらしい。(JC08モード「国土交通省審査値Sの場合」)。と言うことは、日本の場合「乗用車一台一日あたりの平均走行距離は20キロ以下」という国交省の調査結果があり、数字的には確かに日常の利用をカバーできている。

実際に、PHVで平日は往復15キロの通勤に、一日一回の充電で済んだという結果が出た。また、午前中に買い物、午後に子供の送り迎えを数回と平日でも26.4キロを超える利用者のケースでも、自宅に戻ったときに充電(一日平均3.4回)することでカバーできているらしい。

それらのケースを含めトヨタが豊田市内のユーザーの協力のもと、25台で3ヶ月間の実証実験したところ、一日平均充電回数は2回、そして、従来車に比べ石油消費量削減効果が72%という大幅な改善を達成したそうだ。また、国交省のPHV燃料消費率(複合燃料消費率)審査値で一リットル当たり61キロという低燃費を実現した。

いずれにしろ、一回のフル充電で26.4キロは、大幅な進歩。26.4キロに押さえた利用だけならCO2排出ゼロ、ガソリン代もゼロというわけ。ちなみに、これを実現できた大きな理由は高容量リチウムイオンバッテリーの採用なんだそうだ。同バッテリーから駆動用モーターにより多くの電気を送れるだけでなく、減速した時のエネルギーを電気に変えてバッテリーに効率良く充電できるといった点も見逃せない。

ただ、PHVに試乗したユーザーからの要望では「もう少しEV走行距離がほしい」との声がある。もっと距離を伸ばすことは技術的に可能なのか。トヨタに聞いてみた。
「可能です。ただ、今のインフラ状況と一般的な自動車ユーザーの一日の走行距離から換算して、必要最低限の走行距離をEVで確保し、それ以外はガソリンに頼ることで、その分本体価格を押さえることを重視しました」

「そうすることで、PHV自体が普及し、それが本当の意味でのエコに繋がると考えています。どんなに性能がいい車を作っても、それが普及しなければエコには繋がらない。だからこそ、普段使いに見合う性能で価格を押さえることで、普及を目指しているのです」

EV走行として走行距離を延ばすだけであれば技術的には簡単。だが、延ばしたとしても旅行先に充電スポットがなければ結局遠出はできないなど、EV走行として不自由なく使うには、インフラがまだ全国的に整備されてないという。そうした社会的背景の中で、
「今の時代にあったエコカーとして、まずは充電が当たり前のようにできる整備の実現と、利用者の生活スタイル環境に合った性能を備えた車を作ることが、必要だと考えます」とのこと。

「エコカーが普及してこそ環境へ貢献できるというトヨタの想い」がプリウスPHVに込められているわけだ。さて、あなたは日々の生活でどれだけエコに貢献できているだろうか。ちょっと意識してみては。

Woman.exciteの特集では、カージャーナリストと主婦がプリウスPHVについて徹底対談。
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